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 山手線の電車が大塚駅のホームをゆっくりと出発する。茜色の車内に、四人の影が長く伸びていた。


「けっきょく、どこにも降りなかったな」わたしは言った。


「そうだね」ハルは微笑んだ。


 座席の隣に目をやる。アキとフユは互いに肩をもたれかけるようにして寝息を立てている。


「きっとどこでもよかったんだと思う」わたしは言った。「わたしはただこうして四人で遊びに行きたかったんだだけだったんだな」


「そうだね」ハルは繰り返した。「四人ならきっとどこに行っても楽しめる。今日だってそう。外を眺めながら、ああでもこうでもないって言い合ってるだけで充分楽しかった」


「ああ。でも、今度はきっとどこかで降りよう。実を言うと、一度、スカイツリーに上って見たかったんだ」


「うん、きっと」


 ハルがうなずく。電車は池袋駅に着こうとしていた。

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