第2話 冴えない私と、ご飯の時間

 学校から10分ほど歩くと、小さな掘っ建ほったて小屋が見えてきます。そう、あれこそが私の家なのです。小さいながらも住みよい我が家といいますか、まあ私一人で住むにはとても丁度良いところなのです。

「ただいまー、なんちゃって」

 お父さんとお母さんはいません。昔は一緒に暮らしていたんですけど、いつの間にか消えてしまったといいますか、それでも悲しくない私は薄情なんですかね?まぁ、弾には帰ってきているようではあるんです。理由としましては、時々思い出したかのように結構なお金が生活費としてテーブルの上に置かれていることがあるんですよ。きっと私が寝ているうちに帰ってきているのだと思います。どうせなら起きているうちに帰ってくればいいんですけどねー。

「ごっはんーがごっはんーがるーるるーるるー」

 制服を脱ぎ捨て、部屋着に着替えます。着心地がよいのと、最初に買ったときに物凄くぶかぶかなものだったので、結構長い間部屋着として愛用している物なんですけど、まだぶかぶかなのでこれからも着ていくと思います。ボロは着てても心は錦って奴です。違うかな。

 それから、ご飯の用意をします。時計を見れば、もう6時30分を回ったところ。お腹空いちゃいますよね。

 昨日買った卵を割って、ボウルの中で牛乳と一緒にかき混ぜ、その間に玉ねぎとひき肉をバターで炒めます。火が通ったら一度取り出してから卵を焼いて、少し固まったところに先ほどの玉ねぎとひき肉を入れて、包んだらオムレツの完成です!

 硬いパンに合うんですよこれが。

「それでは、えーと、父よー・・・うんたらかんたら。いただきます!」

 多分普通のご家庭だったり、ひとりでも敬虔な神教の方だったらちゃんとお祈りをするんでしょうけど、私はそもそもお祈りをした記憶がないので、真似だけしてます。それよりもオムレツです。真ん中を割って、そこから食べるのが私流。うん!今日もおいしくできてます!

「あ、すっげぇわこれ。うんまいもんだねぇ」

 さっき拾った人形さんも、私のオムレツに舌鼓を打っています。作った甲斐があるもんですね!パンも食べます。美味しいです!

「・・・なぁあんた、ここは普通、お人形が喋ったぁー!とか、なんで一緒にご飯を食べてるのぉー!とか、そんな感じなリアクションをするところなんじゃないだろうか?」

「まぁ、そんなことを考えた時期も私にありますよ?でも、なんでしょうね。ごめんなさい、ご飯の方を優先してもいいですか?」

「あ、はい」

 全く、不躾ぶしつけなお人形さんですね。これは持ち主を説教しなければいけません。ご飯の時は静かにしないといけないんですよ?


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