可愛い妖精さんたちと行く世界征服
あきょう
妖精さんと、冴えない私
第1話 冴えない私と、いつもの日々
「
私は、頭から水をかけられていました。魔法で出された水は、よく冷えています。
「マリーは。トロくてむしゃくしゃするのよ」
真冬の夕暮れにかけられる水はたまらなく冷たく、私の意思に反してカチカチと歯を鳴らしてしまいます。
「先生にチクったら、まぁ、貴女でもわかるでしょ?じゃあね」
そう言って私のクラスメイト達は、くすくす笑いながら校舎裏から去っていきました。
私-マリー・クラフトは、御覧の通り酷いいじめにあっています。原因はよくわからないんですけど、どうやら私は人より考えたり行動するのが一呼吸遅いようで、それをいじめの種にされています。
「・・・寒い・・・」
しかしさすがに、こんな寒い日にお水をかけられてそのままにしていては、私の命に掛りますし、ここはひとつ魔法を使うのが吉ですね。
「
初歩的な火の魔法で暖を取ります。私と同じ年の方々なら、もっとこう、ブワーッと体を乾かせたりするのかもしれませんが、あいにく私はそこまで難しい魔法はできません。こう、長い詠唱を覚えることが出来ないのです。自分のことは、フィーリングで生きる女と呼んでいます。凄くかっこいいですよね。
話がそれました。小さな火で何とか生乾きまで服を温めていると、なんでしょう、遠くに何かが落ちているのを見つけました。誰かの落し物かもしれないので、近づいてみます。
落ちていたのは、小さな人型のお人形でした。お洋服はとってもかわいい、どこか異国情緒のあふれた物なのですが、残念ながらビリッと破れています。綺麗な金色の髪の毛はぼさぼさになってますし、陶器のように透き通ったお肌は傷がついて、中の赤いのが見えていますね・・・お人形にしては少しリアル且つちょっとした温もりも感じる気もしますが、手のひらサイズの二頭身の人間を私は見たことがないので、きっとお人形に違いありません。
それにしても、なんだかボロボロですね・・・お人形に回復魔法って聞くんですかね?まあ私、お人形を直す魔法とか知らないんですけどね。
「
授業中に当てられたときのドキドキとか、針で指を差しちゃったときに使うような些細な回復魔法ですが、私の精一杯の魔法です。そして見事魔法は功を奏し、お人形のお肌はきれいになったのでした!やぁ、よかったよかった!
「へっくち」
良かったついでに、生乾きなお洋服が冷えてきましたね・・・早くお家に帰りましょう。お人形は・・・明日落とし主を探せばいいですよね!
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