2クリスマスイブの悲劇①~4人のヒロインとのクリスマスパーティのはずでした~
クリスマス当日は月曜日で補習があったが、クリスマスイブは日曜日で休みだった。飯島蓮人は、女子と楽しく一日を過ごせたらいいなと考えていた。
23日の土曜日の夜、飯島蓮人は思い切った行動をとった。カラオケに行ったり、イルミネーションを一緒に見たりしたいという希望を胸に、スマホで、SNSアプリのクラス全員が入っているグループにメッセージを打ち込んだ。
「明日は、クリスマスイブだけど、一緒に遊ばないか。できれば女子希望。」
メッセージを打ち終わり、自分の部屋のベッドに転がって考える。きっと、たくさんの女子が返事をくれるだろう。スマホを見ながらほくそえんでいたら、数人の女子から返信が来た。返信の内容はどれも誘いを断るもので、いつも通り、飯島蓮人の期待は外れた。返信をしてくれる女子がいるだけ、いいと思わなければならないだろう。
「せっかくのイブなのに、なんで飯島なんかと遊ぶ必要があるか意味不明。」
「女子希望とか、マジキモい。」
「死ね。」
「思いあがるのもたいがいにしろ。」
次々に来る返信を既読していくうちに悲しくなってきた。下二つのコメントは九条華江と六ッ美佳純からだった。相変わらず、暴言を吐きまくりである。
とはいえ、その内容を見て可哀想に思ったのか、男子からもちらほらとメッセージが送られてくる。なんやかんやで男子は飯島蓮人のことを心配しているのだ。心優しい男子に恵まれて、飯島蓮人は感謝すべきである。
「仕方ないから、俺らと一緒に遊ぶか。」
「なんか、見ててむなしくなるから、クラスのグループに変なことを書き込まない方がいいぞ。」
「お前らなんて眼中にない。どうして、クリスマスイブにまで、男子と遊ばなきゃならないんだ。」
男子の心遣いむなしく、飯島蓮人はすぐに男子からの誘いを断った。
理由は簡単。女子から誘いを受けたからだった。男子からの誘いを受ける数分前、飯島蓮人個人にあるメッセージが届いたのだった。
「死ねとか言ってごめん。クリスマスイブだけど、一緒に遊んでやってもいいよ。」
「私も、何なら、私たちの他に例の2人を誘って、5人でクリパでもしようか。」
何と、その女子とは、九条華江と六ッ美佳純だった。そして、あろうことか、彼女たち自ら飯島蓮人とクリスマスパーティをしたいと誘ってきたのだ。2人以外に、隣のクラスの七瀬梨花と女子高の八代さくらが来るということだ。
2人は、飯島蓮人との3人のグループを作って、そこにメッセージを入れてきた。
「4人とも嫌い嫌いといいながらも、実は俺のこと好きだったんだ。照れ屋なんだから。」
ふふふと、気持ちの悪い笑みをこぼして、明日を楽しみにする飯島蓮人だった。
その後、2人からは明日のイブの予定を詳しく聞かれたので、飯島蓮人は前世と同じようにしたいと返信していく。
「ピコン。」
九条華江と六ッ美佳純以外の新たなアイコンがグループ画面に現れた。
「すいません。塾に行っていて、今帰ったところです。明日の予定について、すぐに参戦します。」
相手は、八代さくらだった。彼女と2人は面識はないと思っていたのだが、どこで知り合ったのだろうか。さらに1時間後、今度は七瀬梨花がグループに入ってきた。
「遅れてごめん。冬休みの宿題を終わらせてた。それで、予定の方はどうなっているの。」
前世のヒロイン4人はどうやら、顔見知りのようだ。それらがこの現実世界で一堂に会するのである。
当日は、昼食を5人で一緒にファミレスで食べ、その後は近くのショッピングモールでぶらぶらと買い物をする。そして、八代さくらの家でクリスマスパーティをすることになった。
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