14進路相談③~文理選択を決めて、志望大学を探しましょう~
文系、理系についての説明を聞いた数日後、飯島蓮人の進路相談の日がやってきた。今回も当然三者面談であり、放課後の教室には、担任と飯島蓮人、母親の三人が集っていた。
「まずは、飯島蓮人君の成績ですが……。このままの成績だと大学に行くのは厳しい状況だと言わざるを得ません。ただし、まだ一年生ですので、これからの勉強次第で、大学に行くことは可能です。」
担任が飯島蓮人の成績を説明する。担任の話を聞いた母親は深いため息をつく。そして、担任に助けを請うことにしたようだ。
「そうですか。どうしたら、勉強をしてくれるようになるのでしょうか。家に帰ってからも宿題をする様子もないし、スマホやパソコンをいじっているばかりで、どうしようかと思っていたのですが。」
「本人が目標を決めるということが必要でしょう。目標が決まればおのずとその目標に向かって自然と勉強を始めると思いますよ。」
「目標ですか。蓮人、あんたはどこの大学に行きたいかとかいう希望はあるの。」
二人で話を続けていたと思ったら、飯島蓮人にも話を振ってきた。仕方がないので、正直に目標の大学はまだないと伝える。
「でも、理系と文系どちらに進みたいかといえば文系かな。」
文理選択についてはすでに決めていることを話すと、担任はふむふむと言いながら、机の上のメモに何やら書き込んでいく。特に文句は言われなかった。
「文系ですか。いいと思いますよ。それなら歴史の選択をしなければならないですね。日本史と世界史のどちらを選びますか。私としては世界史を進めたいところですが、こればかりは本人の自由ですからね。」
そのことについては、飯島蓮人も頭を悩ませていた。歴史が好きというわけではないので、どちらでも構わなかったのだが、昼休みに言われたことを思い出す。
「日本史と世界史だけど、将来的に役に立ちそうなのは世界史だと思うわよ。まあ、大学で楽ということだけだから、別にどっちを選ぼうが構わないと思うけど。」
確か、担任と同じように世界史を進められた気がする。
「まあ、現時点で文系ということが決まっていれば、問題はありません。あとは、志望大学をおいおい決めていけばいいでしょう。勉強面では不安もありますが、定期テストでは、何とか赤点は回避するくらいの成績なので、大学進学は難しい成績ですが、進級に関しては問題はないです。」
「わかりました。家に帰って、子供とよく話し合ってみます。」
特に問題はなく、進路相談は無事に終わったのだった。教室を出る際に担任にぼそっと忠告された。
「飯島君、冬休みはきちんと宿題を期限内に終わらせるのですよ。夏休みの宿題ほど、放課後に時間は取れないので、頼みましたよ。」
うげっとなる顔を隠しきれない飯島蓮人だった。とはいえ、夏休みの宿題に関しては、結局、逃げることはできずに、毎日居残り補習をさせられた。幸い、同じクラスに夏休みの宿題を終えていなかった男子が飯島蓮人の他にもいたので、二人で切磋琢磨して何とか冬休み前には終えることができたのだ。
苦い記憶を思いだし、今回はなんとしてでも終わらせるぞ。飯島蓮人は新たな決意を胸に冬休みを迎えるのだった。
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