6文化祭①~予想外につまらないものでした~

 文化祭はどうやら平日に行うらしい。前世では土曜日に外部の人間も招いて大賑わいのイベントだったが、この学校はそうではないようだ。


 ということは、外部のかわいい女子高生との出会いはないということになる。飯島蓮人のクラスは、クラスの反対もあってメイド喫茶はなくなったが、他のクラスの出し物にもメイド喫茶なるものはないようだった。



 

 文化祭当日、各クラスの出し物が書かれた予定表が渡された。ざっと目を通しても、面白そうな、行きたいと思えるような出し物をやるクラスは見当たらなかった。


「メイド喫茶もない、コスプレ喫茶もない、劇もないし、他校の女子生徒も来ない文化祭で何を楽しめばいいのだろうか。」


 


 さらには夕方にはすでに文化祭は終わるそうだ。当然、夜にキャンプファイヤーをやって、みんなで踊りあかすこともないし、男女の仲を深めることもできない。


 憂鬱しかなかった。前世の文化祭は、それはそれは大いに盛り上がったものだった。


 


 まずは、土曜日の休日に行われた。そのために他校からもたくさんの生徒が訪れた。さらには飲食店も多く出店されていた。中庭にはたくさんの出店が並び、多くの人でにぎわっていたものだ。


 飯島蓮人は3年間でメイド喫茶、劇「ロミオとジュリエット」、お化け屋敷をクラスの出し物としてやった。どの年もそれはそれは充実した文化祭だった。


 1年の時のメイド喫茶では、同じクラスだったカナたちのエロ可愛い姿を拝むことができた。2年の時のお化け屋敷は、リンと一緒に回って、怖がるリンが抱き着いてきて最高だった。


 3年の最後の文化祭では、劇「ロミオとジュリエット」を上演した。ロミオ役の男子が当日に熱を出して休んだために、代役として飯島蓮人が出演することになった。


 ジュリエット役はモモカだった。最後のキスシーンはいろいろあってなくなってしまったが、それでもモモカとラブシーンをすることができて大満足だった。


 それ以外でも、他のクラスの出し物を見るためにカズサが一緒に回ってくれた。普段は男装をしていたのに、この日はフリフリの女子の恰好をしていて、屋台で出されているものを食べたり、展示物を一緒に鑑賞したりした。


 今回の文化祭も同じように楽しむことができるだろうか。文化祭も体育祭同様、つまらないものになるだろうと予想がついたので、いっそのこと、当日はさぼって休もうかとさえ考えた飯島蓮人だったが、それでももしかしたらという希望を捨てきれずにいた。




 文化祭は、予想以上につまらなかった。まず、出店が少なすぎた。これではそもそも楽しむことができない。


 次に外部を招かずに行うということだ。これでは、他校の交流も何も出会いが全くないということだ。校内にいる生徒と先生しかいないので、盛り上がりに欠ける文化祭だった。


 あまりにも前世との差が激しすぎたため、少し回った後は、空き教室で昼寝を決めこむことにした飯島蓮人だった。


 


 飯島蓮人の他にも文化祭をつまらないと思う生徒がいるはずだと思ったのだが、飯島蓮人が使った空き教室には誰もいなかった。


 ここで、かわいい女子が入ってきたりしないかなと、淡い期待を持っていたのだが、残念ながら、そんな幸運は訪れなかった。


 誰にも邪魔されることなく、睡眠をむさぼった飯島蓮人であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る