4体育祭②~ヒロインたちは大活躍だったようです~
弁当はクラスの男子と適当に食べ終え、午後の種目を行うために校庭に戻った。午後の最初の競技は応援合戦だった。女子も男子も学ランを着るという暑苦しい応援である。
飯島蓮人は大して期待していなかった。応援なのに女子がチアガールのミニスカを着ていない時点で見る気はゼロである。
応援合戦が始まった。学ラン姿の男女が校庭の中央に集まる。
クラスメイトは格好いいと言っていたが、飯島蓮人はただ学ランを着た男女が何か叫んで踊っていただけで何も思わなかった。
その後の競技も大して興味を持てるような種目はなかった。借り物競争には興味があったが、実際に競技を観戦して、思っていたものとは全然違い落胆した。
前世での借り物競争は借りるものは突飛押もないものがたくさん混ざっていた。自分の好きな人、メガネをかけている人、太っている人、がりがりの人、借り物の書かれた紙には特定の人物が書かれていたのにそれがなかった。ただ、くじをひいて、紙に書いてある品を途中の机から持っていくというものだった。
騎馬戦もあったが、これは男子のみで、飯島蓮人にとってはこれこそ意味のない競技だと無視した。
最後のリレーも学校中が盛り上がっていたが、テンションが駄々下がりで見る気も起きなかった。
こうして、快晴の下、全日程を無事にこなして、飯島蓮人にとって面白くもなんともないつまらない体育祭は幕を閉じたのだった。
ちなみにマスコットの出来は最下位だった。どうやら、寸法を間違えてサイズオーバーで減点されたようだった。しかし、マスコットは最下位だったが、総合得点では飯島蓮人の団は優勝には届かなかったが、それでも二位という結果に終わった。
飯島蓮人にとっては退屈でつまらないものであっても、前世のヒロインたちにとっては活躍の場でもあったようだ。
まずは、転校してきた六ツ美佳純。前世ではカズサと呼ばれていた彼女は、運動神経がずば抜けていた。容姿から見ても運動神経がよさそうだったが、実際にも優れていた。イギリスでは陸上競技をやっていたこともあり、急きょ与えられた50m走やリレーではぶっちぎりの一位を獲得していた。
女子の間ではアイドル的扱いを受けていた。別にうらやましくもないが、クラスメイトと親しげに話しているのを見ると、自分もあのような扱いを前世では受けていたと思い出してむなしくなるので、なるべく見ないようにしていた。
一方の六ツ美佳純は、ちらちらと飯島蓮人の方に視線を向けて何か話したそうにしていたが、クラスメイトがそれを許さなかったので、二人は体育祭の間、話すことはなかった。
他のヒロイン二人も大活躍だったようだ。カナ、九条華江は応援団に入っていたようで、学ランを着てカッコよく応援をできていたようで、こちらもクラスの注目の的だった。
隣のクラスのリン、七瀬梨花も小柄な身体ながら、運動神経は良かったようだ。六ツ美佳純と一緒にリレーに出て、大健闘していた。
飯島蓮人以外は皆、体育祭を大いに楽しんでいたようだった。炎天下の中でも、もし女子生徒の体操服がもっと透ける素材であり、汗をかいて濡れて下着が見えていれば、もっとやる気が出ただろうが、すでに体操服についても制服同様、透けにくい素材でできているのを体育の授業で確認済みであった。
この世界は、本当につまらない。飯島蓮人がいつも思っていることだが、今回の体育祭でも改めて実感したことだった。
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