12夏休みの注意事項~宿題に補習、部活で休む暇はあるのでしょうか~
さて、三者面談も無事に終わり、今日は一学期の終業式である。いよいよ明日から待ちに待った夏休み開始である。
飯島蓮人は明日からの夏休みに大いにはしゃいでいた。一学期を過ごしてきて、殆ど楽しいことがなかった彼にとって、夏休みは天国のようなものだった。勉強はしなくていいし、朝も早く起きる必要もない。思う存分、ゴロゴロ自堕落な日々を送ることができるのだ。
しかし、飯島蓮人の通っている高校は何度も言っているが、俗にいう進学校である。夏休みだからといって、勉強をおろそかにしていいということにはならなかった。
当然のように大量の夏休みの宿題が各教科から出されていた。しかも、先生たちは他の先生と連携していないのか、どの教科もこれでもかというほどの宿題を出していた。
国語、英語、数学はもちろんのこと、理科や社会からも宿題が出された。答えももらっていたが、答えを写すだけでも、一晩徹夜で終わるような量ではなかった。
それでも、宿題だけなら、夏休み最終日に徹夜で終わらせることも可能だと考えていた飯島蓮人だった。すでに宿題については彼の夏休みのプランには含まれていなかった。宿題ではなく、もっと面倒なことが飯島蓮人には待っていた。
「面倒くさいよなあ。夏休みなんだから、わざわざ学校に行く必要ないと思うけどなあ。」
「それは思うけど、一応、俺たちの高校は進学校なんだから、補習も仕方ないかもしれない。それに真夏の学校とは行っても、教室にクーラーもついていることだし、真夏の暑さ地獄の中の補習ではないわけだし、あきらめるしかないだろ。」
「部活も毎日あって、さらに補習とか、殆ど夏休みとは言えないよなあ。大学には行きたいけど、夏休みはもっと自由に過ごしてもいいと思うけど。」
クラス内でささやかれているのももっともな理由である。そう、せっかくの夏休みなのに、まさかの全員参加の補習があるというのだ。もちろん、強制参加であり、部活の大会や特別な用事がない限りは、休んではいけないという。
夏休みとはいったい何なのだろう。クラスのだれもが少なからず思ったことだが、進学校と呼ばれる高校に入った時点で、補習があるのはわかりきっていたことだ。
先生に文句を言う生徒はいなかった。飯島蓮人は文句を言おうと先生に詰め寄ったが、結局、文句を言うことはなかった。言っても無駄だという雰囲気がクラスから伝わってきたからだ。
補習は夏休みが始まって一週間、つまり、7月中は土日以外に休みがないということだ。8月からは休みになるが、お盆明けからは後半の補習が始まることになっていた。
幸い、飯島蓮人が入部した写真部は夏休みに部活をすることはなかった。それだけが唯一の救いだった。運動部に所属したクラスメイトは、補習だけでなく、部活までしなくてはならないので、夏休みだというのにほとんど自由がない状況だった。
それでも、補習は午前中だけだったので、いつもの授業のように一日勉強漬けというわけではなかった。午前中を乗り越えられれば、その後は自由に過ごせるのだ。
補習は授業ではないので、基本的に一学期に学習したことの復習を行うようだった。先生がプリントを配布して、その問題を解くというスタイルのようだ。授業を受けるよりもまだましだと思うことにした。
いいほうに考えることにして、夏休みを楽しむことに決めた飯島蓮人だった。
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