8電車で再開しました②~美少女が話しかけてくれました~

 学校に着いた飯島蓮人は、今朝のことについて考えていた。自分の顔を見て、突然震えだし、しまいには倒れてしまった彼女はいったい誰なのだろうか。


 確かに前世でのモモカに似ているのだが、モモカは飯島蓮人の顔を見て震えて倒れるようなことはなかった。


 とはいえ、自分の顔を見て倒れたというのは気分が悪い。どうしてそんなことになったのか原因を詳しく聞かなければ気に入らない。


 そういえば、カナもリンも前世では飯島蓮人のことが好きで好きで仕方なかったはずなのに、転生後のこの世界で再会した時には、飯島蓮人を好きになっていた自分を嫌悪しているような感じだった。


 なぜだろうかと飯島蓮人は能天気な頭を必死でフル回転させるが、嫌われるようなことをしていた記憶はない。ラッキースケベ的なことは何度かあり、彼女たちに怒られることはあったが、彼女たちがそれに対して本気で怒っていたようには見えなかった。


 急に突風が吹いて、スカートがひるがえり、パンツが見えたことは不可抗力だし、着替えを除いたのはあくまで自分ではなく、彼の悪友が誘ってきたことだ。


 そもそも下着が見えたところで女子にとっては見られるだけで、減るようなものでもないので気にすることもないと思う。自分を好きになったと言っていたのだから、なおさら好きな人には見られてもいいのではないかと思ってしまう。


 考えていたもらちが明かないと思った飯島蓮人は、とりあえず、放課後にモモカ、今はどうやらさくらと呼ばれる彼女に会ってみようと思った。彼女が来ていた制服から高校はわかるので、待伏せしようかと計画を立てる。


 

 しかし、その計画が達成されることはなかった。今日は7時間目まで授業がある曜日だった。それだけで帰宅時間が遅いというのに、その上さらに英語の小テストの点数が悪かった人は補習が行われることになっていた。

 もちろん、飯島蓮人はその英語の補習の対象になっていた。バックレようとしたのだが、そんなことができすはずもなく、結局補習を受けることになった。


 補習が終わってやっとのこと学校から出るとすでに辺りは暗くなっていた。彼女に会おうと思ったが、その体力はすでになくなっていた。


 

 駅までたどり着くと、運が良いことにすぐに電車が来た。飯島蓮人はそれに乗り、電車の中で今後のことを考えた。今日はもう遅いので、彼女もすでに家に帰ってしまっているだろうと思い、明日朝の電車で会えたらいいなと考えていた時だった。いつの間にか、彼女が電車に乗る駅に到着したようだ。


 昨日、飯島蓮人の顔を見て、突然倒れた彼女が電車に乗り込んできた。


「朝会いましたよね。すいません。人の顔見て倒れてしまうなんて。もう一度会ったら、謝りたいと思っていたんです。」


 何と、今朝の彼女が飯島蓮人に話しかけてきたのだった。彼女自ら話しかけてきたので、これをチャンスだと思い、気になったことを質問した。


「いや、別にそのことは気にしていませんよ。ええと、あなたは俺のことを誰かと勘違いしていたのでしょうか。どうして、俺を見て、倒れたのか気になってしまって。」


「ええと、すいません。こんな話、誰も信じてくれないのですけど、実は……。」


 彼女が話し始めようとしたとき、ちょうど飯島蓮人が降りる駅に到着してしまった。


 なんてタイミングが悪い。もっと話をしたかったのだが、仕方がない。また明日と声をかけて急いで電車を降りた。


 こうして、彼女との接点ができただけで、短絡的な飯島蓮人は明日が来るのが楽しみになった。

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