7電車で再開しました~ハーレム要員3人目との出会いました~

 朝、電車に乗って学校に行く途中で美少女と出会った。もちろん、黒髪で黒目の地味な色合いだったが、それでも彼女の美しさは際立っていた。サラサラな黒髪を一つにくくり、背はすらりと高かった。スタイルもよくて、手足がすらりと伸びていた。目鼻立ちもはっきりしていて、二重の瞳は形の良いアーモンド形で知的そうな印象をもたらしていた。


 彼女が来ている制服は私立の女子高だった。スカート丈はもちろん長めで膝がすっぽりと隠れていて、胸元のブラウスのボタンもきっちり第一ボタンまではめられていた。


 飯島蓮人はそんな彼女にお近づきになりたいと思った。とはいえ、突然見ず知らずの男子高校生が声を掛けたら、不審者と思われるに違いない。今までの経験からそう思ったので、どう声を掛けたら不審者にならずに済むか必死で考えた。


 彼女は同じ女子高らしき生徒と楽しそうに話していた。電車が駅に着くと、彼女は電車から降りていった。飯島蓮人の降りる駅はその次だったので、彼はそのまま彼女を見つめたまま、電車に乗り続けるしかなかった。結局、声をかけることはできなかった。


 その次の日も、彼女は飯島蓮人と同じ電車に乗っていた。今日こそは話しかけようとして、彼女とその友達らしき生徒との会話に耳を傾ける。


「最近、よく夢を見るの。私には好きな人がいるんだけど、その人を好きな女子は私以外に3人いるの。それでも私は彼をあきらめきれない。妥協案として、彼はみんなのものということになって、私も納得するんだけど……。」


「何その変な夢。さくらがラノベのハーレム要員みたいになってるわね。」


「そうよねえ。夢の中では私はモモカって呼ばれていて、夢だからなのか、その名前に違和感がないの。」


 会話を聞いているうちに彼は彼女がもしかしたら、ハーレム要員の一人であるモモカではないかと思い始めた。

 モモカは金髪碧眼のお嬢様だった。実家がお金持ちでお金の使い方が常識から外れていた。金銭感覚がおかしかったのだ。飯島蓮人に欲しいものは何でも買ってくれた。その代わりに彼女の望みをかなえてあげたのだった。

 

 会話を聞きながら、彼女の顔を詳しく確認する。九条華江や七瀬りんの時と同様に髪の色と瞳の色こそ違ったが、容姿は良く似ていた。しかし、そうだからといって突然、あなたに会ったことがありますと声をかけるのにはためらいがあった。


 九条華江はこの世界にきてよかったといっていた。そして、前世の関係を無かったことにしたいといってきた。七瀬りんにも同様の扱いを受けた。もし彼女からも同じように言われたら、ショックを受けて、寝込んでしまうだろう。


 どうしたものかと考えていると、彼女と目があってしまった。慌てて苦笑いでごまかそうとすると、相手は何か恐ろしいものを見たという顔で突然震えだした。あまりの震えように友だちも心配になったようで、彼女の隣でおろおろしていた。


「ユウト、ユウトがなぜここにいるの。いえ、そんなはずはない。だって、彼がここに居るはずがない。」


 ぶつぶつとつぶやいている。あまりにも不自然な行動をとっているので、飯島蓮人は声をかけてしまった。


「ええと、俺が何かしましたか。」


 声をかけられた彼女はさらに驚愕してその場に倒れてしまった。ちょうど、電車は彼女が降りる駅にとまり、そのまま彼女と友達は電車から降りて行ってしまった。


 飯島蓮人は何もすることができずにそのまま学校に行くしかなかった。

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