第2章 この世界も捨てたもんじゃないと思ったが、やはり退屈だ
1テンプレ少女がいました~ハーレム要員2人目との再会~
りんと呼ばれた少女は、飯島蓮人に名前を呼ばれてとても嬉しそうだった。
「やっぱり、ユウトだったんだね。」
そういった彼女は嬉しそうにしながら、いきなりスカートを翻して回し蹴りを決めてきた。直接攻撃をくらった彼はその場にうずくまる。足を上げた瞬間にスカートの中が見えたが、彼女はスパッツで防御はしておらず、パンツが丸見えだった。ピンクのレースが付いたパンツだったのを彼は見逃さなかった。
そして、彼は回し蹴りをされているにも関わらず、彼女の姿を改めて確認していた。染めたであろう金髪、制服のボタンは下着が見えそうなくらいに開けていてセクシーである。さらにパンツを見るついでに見た肉付きの良い太もも。それを覆うようにニーソックスを履いていた。
これこそ彼が愛してやまなかったテンプレ美少女の正しい制服の着こなし方である。
「ユウトまで転生したなんて知らなかったよ。でもおあいにくさま。現在の私はりんではなくて『七瀬梨花(ななせりか)』ですから。あんたを好きだった私は当の昔にいなくなったのでした。残念でしたあ。」
うれしそうな顔から一転、彼女は彼を怒りの表情で見下ろしている。
「前世の私はバカだったの。愚かだった。こんな腐った男を好きだったなんて、どうかしていたわ。でも、会ってしまったのは仕方ないけど、金輪際、私に話しかけるのはやめてよね。きもいから。」
彼女もまた、先日やっと登校してきたカナ、今の名前は九条華江と同じことを言っていた。いったい、この世界でなにを見てきたのだろうか。自分はそんなに魅力がない男だったとでもいうのだろうか。飯島蓮人は言われた言葉にかっとなってつい言い返してしまった。
「俺だってお前らなんてこちらから願い下げだ。今に見てろよ。お前らが俺をどんなにいい男だった見せてやるから覚悟しとけよ。俺はこの世界でも美女たちを侍らせてやるからな。」
教室の廊下で話していたので、当然周りには複数の生徒がいる。それに気付くことなく、大声で宣言した彼に周りからどっと笑い声が上がる。
「何あれ。どこのラノベ主人公だよ。現実にそんなこと言っている奴、初めて見た。」
「あれって、B組の飯島じゃね。登校初日から、変な発言ばっかりの問題児だよ。」
「マジかよ。うけるわ。どうしたらそんな能天気なこと言っていられるのか不思議だわ。」
皆口々に言いたい放題である。しかし、飯島蓮人は真面目に言っているのである。この世界でも前世と同じようにハーレムして過ごすのだと改めて決意していた。
「瀬川、今日という今日は許さんぞ。その髪の毛とスカート丈を何とかしなさいと何度も言っているだろうがあ。」
彼と彼女の話を遮ったのは、生徒指導の先生だった。そのまま、彼女は先生に引きずられてどこかに行ってしまった。生徒指導の先生は、いかにも熱血系の体育のいかつい男性である。
「絶対いやよ。これは私のアイデンティティだからやめないわ。それにそれ以外は成績も悪くないし、素行も悪くないはずでしょ。だから、これだけは勘弁してよう。」
ひきずられながらも、彼女は先生に向かって叫んでいた。その言葉を無視して先生と彼女はその場からいなくなった。
とんだ茶番が終わったとばかりに生徒たちはそれぞれ自分の教室に戻っていく。しかし、飯島蓮人だけはその場にうずくまったままだった。
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