第6話ヤギさん強盗団

 あるところに黒と白の二匹のヤギがいました。彼らは大変金欠で、日々食うのにも困っていました。

 ある日二匹のヤギは銀行強盗を企てました。黒ヤギさんが言うには、

「あの銀行は警備が薄い日とそうでない日がある。どっちにしても俺一人では無理だから協力してほしい。」

 白ヤギさんもこれに答えて、

「警備の薄い日なら僕たち二匹でうまく行くけど、そうじゃない日なら難しいな。」

そこで二匹は相談して、黒ヤギさんが銀行の様子を見に行くことにしました。黒ヤギさんは

「警備が薄かったなら、俺が手紙を書く。そのときは一緒に行こう。そうでなかったら今日はやめたほうがいい。」と言いました。白ヤギさんもこれに答えて

「わかった。君からの手紙を見たら一緒に行くことにしよう。」

と言いました。



 さて、実行日です。黒ヤギさんは銀行の警備を見張りながら、今日は警備が薄いと思いました。

「早速白ヤギに手紙を書かなくては。」と黒ヤギさんは手紙を書いて郵便で送りました。

その手紙は瞬く間に白ヤギさんに届き、白ヤギさんもそれを確認しました。ところが金欠ゆえに白ヤギさんのところにはたくさんの手紙が届きます。しかも白ヤギさんは届いた手紙を宛名も確認せずに食べてしまうことがあります。

そこで白ヤギさんはこう思いました。

「黒ヤギさんは僕が間違えて他の手紙と一緒に食べてしまったと思うかもしれない。こんなことは十分にありえる。そうだ、僕が手紙を受け取ったことの返事をしよう。」


 そうして白ヤギさんは黒ヤギさんに手紙を書きました。この手紙は瞬く間に黒ヤギさんに届きます。黒ヤギさんもそれを読んで白ヤギさんがちゃんと手紙を受け取ったことを確認しました。でも、黒ヤギさんのところにも毎日たくさんの手紙が届きます。黒ヤギさんも届いた手紙を宛名も確認せずに食べてしまうことがあります。そこで黒ヤギさんはこう思いました。

「白ヤギは俺が間違えて他の手紙と一緒に食ってしまったと思うかもしれない。確認のために俺が手紙を読んだことを教えてやろう」


そうして黒ヤギさんは白ヤギさんに手紙を書きました。この手紙は最新テクノロジーによって瞬く間に白ヤギさんに届き、白ヤギさんは黒ヤギさんが白ヤギさんが手紙を受け取ったことを確認したことを確認しました。白ヤギさんは

「よおし、これで十分だ。強盗の準備をしよう」と思いましたが、ふと思い直して、

「でもやっぱりこの手紙を僕が間違えて食べてしまったと思うかもしれないなあ。ありえる。一応確認の手紙を書こう」


そうして白ヤギさんは黒ヤギさんに手紙を書きました。この手紙は文明の利器によって刹那の間に黒ヤギさんに届き、黒ヤギさんは

「ようし、白ヤギは俺が警備が薄いと確認したことをわかって、そのことを俺がわかったことを白ヤギが理解したな。強盗の準備だ」となりましたがはたと不安になり、

「でも、俺が手紙を食ってしまってたら俺は知らないわけだし、白ヤギはそのことが確認できないな」と思い直しました。


そこで黒ヤギさんはこのことを確認するために黒ヤギさんは白ヤギさんに手紙を書きました。黒ヤギさんの手紙は光ファイバーよりも早く白ヤギさんのお家に届きました。でも白ヤギさんは…


こうして黒ヤギさんと白ヤギさんはこのような手紙のやり取りを幾千万と繰り返し実行日の夜になりました。果たして白ヤギさんと黒ヤギさんは強盗を実行できたのでしょうか。


 

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