第2話不決定ランチ

 ある水曜日の午後、大学の講義後に私ビルは同級生のエド、同じくテオとランチの場所を探しながら大学街を歩いていた。馴染みのイタリアンレストランのあたりを通りがかったので、ちょうどピッツァが食べたかった私はここでピッツァはどうだろうと二人に提案した。

 ところがテオは「うーん。僕はピッツァよりもチャイニーズレストランに行きたいな」という。それに同調するようにエドも「俺もピッツァかチャイニーズレストランかだとチャイニーズかな」と言い出す始末である。多数決で負けたので仕方なく私たちはこのあたりで一番うまいチャイニーズレストランに赴くことにした。

 ところがそのチャイニーズレストランにはこう張り紙がしてあった


 「水曜日定休」


 テオは「しかたない。他のチャイニーズレストランでも探すか」といってスマートフォンを取り出そうとしたところ、エドが口を挟んできた。「俺この辺りでいいフレンチレストラン知ってるからそこ行こうよ」と言ってきた。テオは不服そうだったが、私もチャイニーズよりはフレンチの方が好みだったのでテオに賛成することにした。

 

 こうしてエドご推薦のフレンチレストランに向けて歩き出したのだったが、道中ついピッツァレストランを見つけた私はこう言い出してしまった。「そのフレンチって結構遠いからもうそこのピッツァ屋さんでよくない?」なんとこれにテオが乗ってきた。「僕もフレンチよりはピッツァの方が好きだな。ここにしようよ。」


 今度はテオがすごい顔で私を見てきたが、彼も諦めたように「多数決なら仕方ないな」と言ってくれた。こうして結局ピッツァを食べることになり私たちは歩き出したのだが、しばらくしてテオがにっこりある店を指差し


 「やっぱりあのチャイニーズレストランにしない?」


 

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