第2話遅れた者
「チュン!チュンチュン!」甲高い鳥の声を聞いて俺は目が覚めた。
そういえば昨日は、目覚まし時計を設定せずに寝てしまった
(スマホの目覚まし時計を使えばいいと思うが、スマホの目覚まし音のデジタル音よりもアナログ時計のジリジリ音が部屋全体に広がり、起きやすいと感じているためアナログ時計を使用している)
と思いながら、近くの時計を見てみると目覚めたばかりなので確信はないが、気のせいか9時のように見える。
気のせいだよなと思い一度目を擦り、回りがはっきり見えるようになったことを確認して、もう一度時計を見直す。
今度ははっきりと写り確信する。
既に9時になっていた。
俺の通っている高校は8時には登校しなければならず、すでに遅刻である。
まあ、そんな日もあるさ、仕方のないことだと思うほど悠長な考えを持たず、俺は急いで教科書や体育着をバックに積めすぐさま部屋を出て行く。
登校二日目から遅刻など本当に最悪であると思いながら、自分の出せる限りの力を出し10分ほどで着いた。
とりあえず駐輪場に自転車を止め、急いで教室に向かう。キーンコーンカーンコーンという2時間目のチャイムがなったと同時に教室についた。
ガラガラ、バンッ!
一斉にこちらへ視線が向けられる。
どうしよう、動きづらい。
すると、教室に既にいた初日から笑顔を絶やさない太り気味の国語の先生、ツッキー先生(2、3年の先輩がツッキーと呼んでいた。土屋先生だからだろう)が「おそいぞ~早くしろ~」とこれまた笑顔で言ってきた。
俺はなにか救われた気になり、すみませんといいながら自分の席に着く。
席に着いたと同時に昨日決めた女子の委員長(ショートヘアーで黒髪のいかにも委員長て感じの確か名前は松下春花まつしたはるかだった気がする)が「起立、礼、着席」と号令をかけ一時間目が始まった。
今日の授業はほとんどの時間が今後の授業の説明だけで4時間目には学校が終わることになっていた。
正直今日の授業なら受けなくてもよかったのではないのかとも思ったが、すかさず、いけないとカツをいれる。
授業終わりには部活動見学があった。
本当は帰宅部と言いたいところだが見ないで帰るのもまずいと思い、とりあえず部活動を一周してみることにしてみた。
まずはどの部活動に行こうかと考えていると、近くに掛け声が聞こえ、なんだか見てみたくなり覗いてみたが野球部だったので却下。
とりあえず、外での競技はどれも入ったところで、3年生に成っても到底試合に出してもらえないような気がしたため外の部活はなくなった。
次に、体育館に行ってみた。体育館ではバスケ、バレー、剣道、柔道、卓球の5つの部活があった。
しかし、どの部活も自分のやりたい部活はなさそうだった。
結局のところ、やはり自分には家事なども自分ひとりでやらなければならず、忙しいという理由をつけ帰宅部ということにした。
決まったところで帰ることにしようと、駐輪場に行き自転車に乗る。
帰り道昨日会った少女に昨日落としたペンダントを返さなければならないことを思い出し、またあの山を登ることにした。
昨日と同じ柵の場所に行き、また木の裏に自転車を隠し、柵を乗り越えていく。
とはいえ、昨日と同じ場所に行っても会えるわけではなく、またこの山にいるかどうかも分からない。
そして、俺はあの少女のことについて何か知っているわけではないので、会えるわけはなかった。
そう思い、何となくというあやふやな記憶を頼りに昨日と同じ場所に向かっていると、なんとあの少女がいた。
少女は草の中を探している。
きっとこのペンダントを探しているのだろう。
少女は俺の足音に気づいたらしくこちらに振り返る。
俺は昨日落としたペンダントついて言おうと思ったが先に彼女から言ってきた。
「あなた昨日の...ねえあなたここら辺にペンダント落ちていなかった?」
少女はとても焦っている口調でそう言ってきた。
俺はポケットの中からペンダントを取り出しながら言う。
「ああ、これのことじゃないか?」
とペンダントを少女に渡してみると、泣き出しながらい呟いた。
「よかった、本当に良かった」
ダイヤのような高価なもので出来ているわけでもなく、骨董品店に行けばすぐに手に入れられそうなものだったため、少し気になった。
「そんなに大切なものだったのかそれ?」
と聞いて見ると少女は、先ほどまでの涙を拭きそのペンダントについて鼻声ながらも話し出した。
「これはね、ずっと昔とても大切な人にもらったペンダントなんだ。」
懐かしがるように空を見ながらそう言う。
「へ~だからそんなに大切にしているんだ。ちなみにその大切な人って今どうしているの?」
その言葉を口にしたとたん急に少女の顔が暗くなった。
どうやらその言葉は禁句だったらしい。
それを察した俺はごめんと一応謝っておいた。
「あなたが悪いわけじゃないの、悪いのは私だから気にしないで」
彼女は笑顔でそう言った、つもりだろうが内心笑っていないことは俺でも分った。
その後少女から、本当にありがとう、ともう一度言われ、対した事じゃないよと言い、俺たちはまた別れた。
俺は別れた後、少女のことが気になった。
なぜなら少女は人里ではなく、この暗い中2回とも山奥へ行ってしまう。
ここの近くに俺は元々、秘密基地を小学時代に作ったが家があるのは聞いたことがない。
どこへ行くのか気になった俺は、少女の後を追うことにした。
しかし、この行動は少し間違うとストーカーという行為になる。
が、そんな事は考えずに少女の跡を追っていった。
数分後、少女と俺は山を登り続け一つの古い木造建築の家についた。
まさかとは思っていたが、近くにいたにもかかわらず家があるなんて知らなかったと、俺は驚きを隠せなかった。
(玄関にドアが無くとても古い造りだった)少女は颯爽と家の中に入っていく。
どうやら、少女の家のようだ。
俺が木の後ろから少女の家を観察してから数10分が経った。
そろそろ帰らなければ、変態であると少女を着けてきた時点から変態待ったなしだがそう思った。
しかし、少女が家に入ってからかなり時間が掛かっている。
それなのに家の明かりはいつまで経ってもつかない。
もしかしたら誰かがいて、今まさに少女が襲われている。
という確信のない考えを持ってしまい、家に入ってみようと思った。
警察に連絡しようかと思ったが確信もなく連絡し、迷惑だと思ったのでやめておいた。
家の前でごめんくださいと声をかけるのも考えたのだが、もしも本当に犯罪者がいた場合俺も捕まりかねないと考え却下した。
家の前に来ても相変わらず暗いままなので慎重に入って行った。
入ってみると家の奥から明かりが見える。
パッと明るい様な電気の明かりではなくもやっとした明かり。
蝋燭の様な灯りだった。
近くまで来てみると話し声が聞こえる。
俺はゆっくりと近寄り、恐る恐るその部屋を覗いてみるとそこには、あの少女と老人しか居らず。
また、その老人も動けないようで布団の上で横になっていた。
人の家に勝手に入ってさらには盗み聞きするのは悪いので帰ることにした時
プルルルル、プルルルル
俺の携帯電話から電話音が鳴り出す。
急いでポケットから取り出す。
父親からだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます