第10話 星の戦士とヤンデレ少女

「シュッ」

 男性の鋭い息遣い。左ジャブを出した男性はすかさず右ストレートを放った。そしてそのストレートの勢いとともに後ろ回し蹴りを放つ。

 バキッ、というなんだか不穏な音が鳴り、男性の目の前の大木は折れた。

「ふー……押忍オス

 十字を切る男性。俺は彼にタオルを持って行った。

「レイさん、お疲れ様。何時もありがとね、薪を作ってくれてさ」

「ああ、僕が出来ることなんてこの位さ。居候の身だし……ね?」

 彼はレイチェル・フォーラー。俺の家族からは、もっぱらら「レイくん」と呼ばれている。

 何か秘密がありそうだが、さて。俺の推理では恐らくあのウル○ラマン(第六話参照)がレイチェルじゃないのか、と睨んでいる。※正解です

「さて、次だ。ォオオオォォオォ……ッッッ」

 レイが手刀を構える。三戦さんちんちで力を貯め。

ッッッ」

 一瞬の内に、皮が剥かれ、使い易いサイズに切られた薪があった。

「うぉお……すげぇわコイツ」

 俺は呟いていた。咄嗟にである。

「フェイトくん、おはよう!」

 明るい能天気な声。べデリティウスだ。

「お、ようべデリティウス」

「おはようございます」

「にゃは、カタいねレイくん」

「居候の身ですので」

 嘘をくんじゃない。レイチェルはどうやら軽度の女性恐怖症のケがあるみたいだ。トラウマかな?

「さて、そろそろ僕は戻りますね」

◇◆◇

「アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」

 レイチェルの絶叫。何があったかと俺は走った。

「な、何でお前が……!」

「うふふ、やっと見つけましたわ王子さまぁ……♡」

 なんかレイチェルと女性が話してる。いや、痴話喧嘩かな?さて、邪魔しようか(ゲス顔)

「警察だ!(インパルス板倉)」

「ファッ!?ウーン……ってフェイトさん!?何であんたもここに居るんだまずいですよ!」

「っち、間男は帰りなさい!」

「帰れっつってもこ↑こ↓俺の家なんだよなぁ……地獄で焼かれる覚悟はいいか」

「えっ、てことは……」

 物分かりがいいのかな?

「同棲?」

「「違う、そうじゃない」」

「僕は居候だよ!」

「そうだよ(便乗)」

「……ちっ」

 イラッ。頭ん中で何かが弾けかねん。

「『落ち着け主人公よ、今キレても意味無いぞ?あとついでに言うとシナリオ荒らさないでね』」

 作者、長良慎之介ながらしんのすけ天啓こえが聴こえたので自重する。あの人基本的にニコニコ朗らかに笑ってるけどシナリオ荒らされると怒りを溜めてくタイプだからなァ。そして爆発するというね。そういえば最近肋間神経痛ろっかんしんけいつうになったらしいぞ。

 閑話休題それはさておき

 俺の目の前にある事象を整理しようか。

 レイチェルが女性に言い寄られてる。某ホモコップの様に俺が入る。女性キレる。以上!

「で、誰なん?」

「邪魔よ~うふふふ……」

「答えろ。答えねぇと斬るぞ(答えたら斬らないとは言ってない)」

「斬られるのは嫌ね……」

 ふぅと一つ息を吐くと彼女は言った。

「私は『蟹座星系人』。個体名は『ザニカ』。蟹座からやって来たわ」

「ザニカ……ってアンタ新マンと戦ったはずだろ」

「あぁ、アレは別人ね。あのザニカは元々は星獣なのよ」

 ジャック教官アンタぁ。何故星獣殺そうとしたんだよ……。

「オーケー、じゃあ何でレイチェルに付きまとってるんだ?」

「愛だからよ」

「愛だぁ?そんなんで良いのかよ。ストーカーだぜストーカー。迷惑防止条例めいわくぼうしじょうれい働けよ」

「ところでそれに僕の自己決定権はあるのかい?」

「王子さまの言うことは絶対服従ですわぁ♡」

「じゃぁ僕から離れてくれ」

「嫌ですわ、だって私は貴方に恋をしてるんですもの♡」

 目がハートである。

「……歪んでるなぁおい」

「愛だからよ、仕方ないわ」

「ここまで来ると逆に歪みねぇな」

「そこで諦めるんかよフェイトくん!!だらしねぇなッ!?」

「愛なら仕方ないね」

「投げ出すなぁぁぁぁあぁあああぁあ!」

「ところでフェイトさん?」

「ん?」

「ここに住まわせて頂けます?」

「ええぞ!ええぞ!ちょっと待ってや、父さんに連絡する」

「ここに居るよ~、居候か?全然オーケーだよ。オレん家地下もあるしさ。てか地下のスペースが凄いぞ」

「出来れば王子さま……じゃなくてレイチェル様のお部屋で……」

「「「ええぞ!ええぞ!」」」

「僕の決定権はぁぁぁぁあぁあああぁあ!?」

 母さん、援護射撃ナイス。父さん、ナイスゥ!(建前)ナイスゥ!(本音)

「🏱☹☜✌💧☜✏✏🏱☹☜✌💧☜ 😐✋☹☹ 💣☜✏✏✏✏✏」

 また一人居候が増えました、まる。

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