第15話 蘇れ! 暴言よ! 本屋部スペシャル合宿など!
翌朝。カーテンを開くと呆れるくらいの朝日が射しこんできた。雲ひとつないエゲつないほどの快晴だ。もう十一月も後半だというのに少々暑いくらいである。
「やっぱりおいしい~。カスミちゃん天才なんじゃないの?」
「へへへ。焼きたては香ばしくて最高でしょ」
「これが我が妹の真の実力です」
我々三人はちゃぶ台を囲み、カスミが作ってくれた朝ごはんのスイートイヤーミュージックを食しながら来客を待っていた。
――ピポピポピポピポピーンポーン!
お。このまったく遠慮のないチャイムの連打は。どうやら待ち人が来たようだ。
扉を開く。
「よー! 来てやったぜ! いいとこ住んでんじゃん!」
薄手のコートの下にバンドギャルみたいな黒い肩出しのカットソー、下はホットパンツという服装の女性が、ズカズカと家の中に入って来た。
「てめー昨日はあたしを置いて帰りやがったな!」
「ご、ごめんなさい!」
「文化祭終わったら殺すからな! お! おめーが噂の妹ちゃんか! 兄貴そっくりだな! ドンマイ!」
そう言ってカスミの頭を撫でる。千代美先輩はなんだかんだ機嫌が良さそうなのだが、その後ろに立つ部長は死んだ魚の目をしている。
「ホラ! 頼まれたもん買ってきたぜ! いやー重かったわー!」
千代美先輩がパソコンショップの紙袋を畳の上にドーンと置いた。
「ご注文のファッキントッシュパソコン四台!」
「ありがとうございます!」
「大切に使えよな! ボクの賞金ほぼ全額使ったんだから!」部長が涙声で叫んだ。
「大変申し訳ございません。必ずお返し致します」
部長も嘆息しながら、手に持っていた大きな紙袋を床に下ろした。
「言っておくけどパソコンだけじゃないからな! この無線のワイファイだかなんだかに繋ぐやつ! それにプリンター! あとこんな関係ない――」
「いいじゃねえか! しつけーぞ又三郎! まだ三万ぐらい残ってっからさ。終わったらみんなで焼肉行こうぜ!」
ぎゃあぎゃあと痴話喧嘩をする先輩二人。相変らず仲良しである。それを見ながら頬をほころばせていると――
「千代美先輩! 部長!」
春日さんが突如叫んだ。そしてちゃぶ台を踏み台にして跳び上がる! 高度はドンドン上がっていき天井に届いた!
「だあああぁぁぁ!」
天井を三角飛びの要領で蹴り、床に向かって真っ逆さまに落下! そのまま土下座の体勢! これは『昇天龍土下座・改』! 春日さんの最後の切り札。一般に言うリーサルウェポンである。
(なおこの際にパンツが見えた。闘犬乱舞のポメラニアンくんがプリントされた一品。これは妹の所有物である)
「ありがとうございます先輩! この御恩は一生忘れません!」
涙の混じった声だ。先輩二人は苦笑する。
「モエ坊。とりあえず人ン家であんまり暴れねー方がいいんじゃねえか?」
千代美先輩は優しい声でいいながら春日さんの頭を軽く撫でた。
「なんにも恩にきせねえからさ。無駄な体力使うなよ。頑張りどころなんだから」
「うむ。千代美の言う通り。僕には対しては少し恩にきてほしいがね」
千代美先輩と部長は目をギラつかせている。どうやらみんな既に臨戦態勢らしい。
「それでは! 僕の方から改めて作戦の説明をさせてください!」
文化祭まであと二週間。最後の大作戦『蘇れ! 暴言よ! 本屋部スペシャル合宿など!』の開始である。みなちゃぶ台の定位置に着く。
「えーまずは作戦の概要から。本日! 十一月十七日の日曜日! 幻となってしまった『毎日殺伐! 日めくり暴言カレンダー!』を再作成! つまり復活させます!」
現在のところサクラコンピューターのネットワークは不通のまま。カレンダーのデータも取り出すことができない状態だ。文化祭に間に合わせるためには、ファッキントッシュを使用して再作成する必要がある。
「そして明日! 十一月十八日の月曜日! 生徒会室を襲撃! なんとしても殺村あやめを説得し、カレンダー発売の許可を得る! その日の内に『マチ商印刷』に持ち込めば文化祭にギリギリで間に合います!」
「説得か。自信ありと考えていいんだな?」部長が僕に問う。
「はい。もちろんです」部長の目をじっと見つめる。
「よろしい! それでは協力しようじゃないか!」
「ありがとうございます!」僕と春日さんは同時に深々と頭を下げる。
「では。具体的な作戦内容をご説明させて頂きます。まず前提として。僕は先日作成致しました『毎日殺伐! 日めくり暴言カレンダー!』。これの内容を、一月一日から十二月三十一日まで全ての日付につきまして、文言はもちろんのことレイアウトやカラーまで完全に記憶しています」
千代美先輩がすっげ……などと漏らす。
「その内容を僕が脳内から引きずりだして裏声で読み上げます。それをこちらの『タイピング界のスピードリスザル』春日萌美さんが打ちこみ、データベースに登録します。それを元として『死にかけの貴公子』こと部長、『チンピラの皮を被ったマトモ』こと千代美先輩、『世界一可愛い愚妹』カスミの闘魂三銃士が編集。紙面を作成します」
「妹ちゃんにもやらせるんかい」
「やりますよ! だってこれが売れれば牛肉とか買えるんでしょう? ……ズビっ!」
カスミは食欲にまみれてよだれを垂らした。大変はしたない。
「そうか。なにも春日さんの生活だけではない。我々の生活もかかっているというわけか!」部長の目ん玉がキランと光る。
「よっしゃ! もうかったらゴディバ買うぞゴディバ!」千代美先輩も舌なめずりをする。
「ご説明は以上となります! 作業開始前に! みんなで円陣を組みましょう!」
ちゃぶ台を囲むようにして円形に立ち並ぶ。号令をかけるのは僕だ。
「本屋部うううううううぅぅぅぅーーーーーー!」
「ファイ!」
「おおおおおーー!!」
「「「うるせえええぇぇぇ!」」」
両隣と上の階から壁ドン及び床ドンを喰らわされた。
「一月十日! 『この意識高い系低学歴!』 レイアウトパターンD! カラーパターン! 赤、青、白!」
「はい! 登録OKです!」
「一月十一日! 『あなたの彼氏。よく見ると顔自体は完全なブサイクですわね』 レイアウトパターンC! カラーパターン! モノトーン!」
「入れました!」
「一月十二日! 『あなたは絶対に! SNSのプロフィールだけは異様にテンションが高いタイプのネクラ!』 レイアウトパターンAダッシュ! カラーパターンセピア!」
「次お願いします!」
久しぶりの作業だが、僕と春日さんのコンビプレイは完璧だ。以前よりも精度が上がっている気さえする。
「すごーい! わんこそばみたい!」カスミも感嘆の声を上げた。
「なーすげよなー。こいつらいっつも息ぴったりでさ。夫婦みてえなの。早く付き合えばいいのに」
「本当にな。ハハハ」
「そんなことないですよ! てゆうか先輩たちも人のこと言えないじゃないですか!」
「そんなことないですよ……てゆうか先輩たちも……はい! 登録しました!」
「だから勘違いするなって言ってんだろ!」
「そうだぞ火野くん! えーっと……バーカ!」
「そんなこと言って顔真っ赤じゃないですか。説得力ないですよ」
「そんなこと言って……顔真っ赤……! はいOKです! 次お願いします!」
こうして暴言カレンダー初版にのみ存在していた伝説の誤植が作りこまれた。
「ハアハア……! えーっと次は……! 四月一日! 『あなたのことを愛しています』 レイアウトパターンF! カラーパターン! 桃色! ワインレッド!」
「打ちました!」
「四月二日! 『昨日言ったのはウソですわ。くたばりなさい』 レイアウトパターンE! カラーパターン! オールブラック! うぐお! ゲホォ!」
「OK……ギャーーーッ!」
僕が舌を噛んで血を吐くや、春日さんもキーボードを強く叩きすぎて爪を折ってしまった。両者流血。
「あーあームリするからだ」
「なぜデスクワークで流血戦になるんだねキミたち」
千代美先輩が手慣れた様子でティッシュを取り出して春日さんの血を拭く。
カスミはボロボロの救急箱から絆創膏を取り出し、僕の舌に巻いてくれた。
「苦っ……!」
「あっダメだよカスミちゃん! もっと優しく止血しないと」
春日さんは僕のアタマをヒザに乗せ、口にそっと手を入れ絆創膏を剥がした。それから救急箱から取り出したガーゼで、僕の舌の血が出ている部分を優しく揉んでくれる。
「なんだこれは……」
「なに? おまえらそういう関係になっちゃったわけ?」
口がふさがれているため部長と千代美先輩の疑問に答えることができない。
春日さんも狼狽しきった様子で「あー」「うー」などと言っているばかりである。
「まあいい。『バッテリー』がこの様子では仕事にならん。少し休憩しようか」
部長の提案を受け、みんなその場でゴロンと横になる。
時計を見上げると時刻はもう昼の三時を周っている。
「四時間やってまだ四分の一かあ」春日さんが僕の舌をいじりながら呟く。
「やっぱ徹夜コースだな」千代美先輩がため息交じりに返答した。
「それは覚悟していたからいいのだが。ひとつ疑問が」
部長が寝っ転がったまま僕の方に視線を向ける。不覚にも少々ドキっとした。
「火野くん。どうやって殺村さんを説得するつもりだね?」
「あっそういえば。私もちゃんと聞いてないです」
春日さんは僕が発言できるようにと口の中に入れていた指を取り出した。
「そうですね。当日いきなり見せて驚かせたいという気持ちがあるのですが」
「え? なに。あたしらも同席すんの?」
「ダメですか?」
「そんな捨てられた子犬みてえな目ぇされても」
「いいじゃないですか。応援しましょうよ」
春日さんが千代美先輩の所に転がり恋人のように腕を絡める。
「しゃあねえなあ」
「じゃあ明日はみんなでお兄ちゃんの応援ということで」
「カスミ。おまえは入れないだろ学校」
「なぁに。制服着てれば入れるでしょ。貸してー」
「ああっ!」春日さんが突然天井に向かって叫んだ。「そういえば私! 制服持ってません! 捨ててきちゃった!」
どうしようーなどと叫びながら千代美先輩に抱きついた。
「一着やるよ。しょうがねえな」
「えっ二着持っているのか千代美。金持ちだなキミは」
「そんなわけねーだろ。三つ上の千代子姉ちゃんと四つ上の千代花姉ちゃんがマチ商卒だからな。そいつらのがある。ブルセラに売ってなければ」
「ええっ? 千代美先輩長女じゃなかったんですか?」
「上にも十一人いるよ」
千代美先輩のご両親はマンボウかなにかなのだろうか。
――ボンボンボンボンボンボンボンボン。
古時計が八回音をたてる。いつの間にか時刻は夜の八時になっていたらしい。
「六月二十九日! 『あなたちょっと生理的にムリですわ。論理的にも物理的にもムリですけど』レイアウトパターンC! カラーパターン! レインボウ!」
「打ちました!」
「六月三十日! 『ロン! 三二〇〇〇点! こんな牌が出てくるなんて、目ん玉ついてるんですの?』レイアウトパターンM! カラーパターン! オールグリーン!」
「入りました!」
「よし! 編集もOKだ!」
ようやく半分が終了。
全員が真後ろにぶっ倒れた。ハアハアと荒い息が五つ重なる。
しばしの静寂ののち――
「よっしゃ! 飯にしましょ! 体力回復タイムじゃボケエ!」
そう叫びながら立ち上がるカスミ。パソコンをどけ、そこに巨大な鉄板を置いた。
さらに床に置いてあった炊飯器をチャブ台近くまで持ってきてフタを開く。
「うわあ! いい匂い!」
部屋全体に日本人が大好きな匂いが広がる。
「お米ひとつぶひとつぶがキラキラしてる! いつものはんごうで炊いたお米とはうんでいの差!」
「ありがとうございます部長。大変よい炊飯器ですね」
「当たり前だ! 五万円もしたんだぞ!」
部長が怒声を上げた。炊飯器のフタには『十合炊き 超大型炊飯器 オコメ・ザ・ジャイアント』と書かれたステッカーが貼られている。パソコンのついでに電気屋で買ってきてもらったものだ。
「火野くんとカスミちゃん。これは本屋部のためとかじゃなくて立派な職権乱用という奴だぞ。この炊飯器。今回の作戦に必要か?」
「どうしても必要です。これがないとダメなんです」僕はきっぱりと言い切った。
「まーまーいいじゃないですか! 食べましょ食べましょ!」
カスミがどんぶりにごはんをよそっていく。
「なんだ? メニューは? 焼肉? 焼肉?」千代美先輩が目を輝かせる。
「違うよー。リアルタイムチャーハンだよー」
お箸と、ごはんの入ったどんぶりを各人に配布した。
「なんだよそれ。すげーイヤな予感するけど」
「僕から説明しましょう」
戸棚から焼肉のタレとバターを持参する。
「まずこうして鉄板の上にバターを適量乗せます。いいかんじに融けてきたらその上にごはんを豪快に落とす。そいつに焼肉のタレをちょちょっとかけて、かき混ぜながらよーく焼く。イイカンジにお米がパラパラになって焦げ目がついたら出来上がり。これぞ焼肉とチャーハンのいいとこどりの究極料理『リアルタイムチャーハン』です!」
「頭痛がしてきた……」
「というかこれバターじゃなくてマーガリンではないか?」
千代美先輩と部長が不平不満をいう中、春日さんは笑顔でこれを実行する。
「ん! 美味しいですよ! とっても香ばしくて!」
春日さんはアンガイ舌が肥えていないのである。
「殺村さんの暴言を死ぬほど堪能した後だからってのもありますけどね」
「ええそうですね。今なら軽くドンブリ十杯は食べられる気がします」
「部長さんと千代ちゃんさんもたくさん食べてね!」
カスミは先輩たちの分もチャーハンを作ってあげている。全くもって働きものである。
「せめてふりかけとかねえの?」「千代美。今度焼肉を食べにいこう。オゴるよ」
あまり箸が進まない先輩方と少食な春日さんをヨソに、僕は十合炊いたご飯の約半分を一人で食した。カスミも三合ぐらい食べていただろうか。
「いくらなんでも食べ過ぎた……。もうちょっと計画的に食べないとあっと言う間になくなってしまいそうだ」
「まあいいじゃんお兄ちゃん! パワーつけるためっつーことで!」
「こんなにたくさん食べられるのに。普段はアレしか食べてないんですか……?」
春日さんは目に涙を溜めていた。
時計の短針が『12』の文字盤を通過する。
日付は変わって十一月十八日。
しかし。まだ僕たちの一日は終わっていなかった。
「次行くぞオラーーーー! ハーハハハハ! 十二月二十五日! 『ごめんねボク。サンタさんなんかいないの。いるのは。汗水垂らして手に入れたボーナスを浪費させられる、哀れな父親だけ』レイアウトパターンC! カラーパターン! 赤! 緑! 白!」
「貧相人間十八号こと春日萌美! 入力完了しました! キャハハハハ!」
春日さんの目がイッてしまっている。なんだか色っぽくドキドキする。
「イーーーーヒヒヒヒ! なんか楽しくなってきたぜええええ!」
千代美先輩のシャウトがデスメタルみたいでかっこいい。
「閻魔大王! やめてください! ボクは下着泥棒なんてしてません!」
部長の体からなにか透明なモノが抜けかけているのが見えた。
「なんかこの感じ懐かしいですね! キャハハハハハハハハハ!」
「えーいつもこんなに楽しいんですか!? 私も本屋部入りたい! マチダ商業受かったら! ぶははは!」
「カスミおまえ一秒も受験勉強してないけど大丈夫か。フイヒヒヒヒヒヒ!」
「大丈夫だ! あたしもしてねえ! ギャハハハハハ!」
「ボクも一切してない! ラノベ作家って食えるのかな? なあんちゃって!」
「将来が心配で眠れやしねー!」
「なに言ってるんですか! 将来が一番やばいのは私です! よくて餓死、最悪JBGとかいう連中にシャサツされるんですよ!」
「大丈夫! 僕が守ります! 胃液で弾丸を融かします!」
「ってゆうかてめえら全員臭せえんだよ! 風呂入れや! ギャハハハ!」
「うっせー千代美先輩! それよりラストスパートじゃああ! 全員気合入れやがれ!」
「「「「「おう!」」」」
「バカクソ野郎ども! オリジナリティーはどうした!」
「ポリネシアンジャスティスブレイカ!」
「ジュンチャンリャンペーコードラドラ!」
「ペンギンクラブ山賊版!」
「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン!」
隣人の壁ドン、床ドン職人たちはすでに諦めたようだった。
――早朝五時。
曇った窓から朝日が差し込む。
机の上には完成したカレンダー。
脳味噌をオーバーヒートさせすぎたせいかちっとも眠くない。
風呂場からは女性陣三人がきゃあきゃあ騒いでいる声が聞こえる。
(あんなに狭いお風呂によく三人で入るなあ。いくら全員ちんちくりんとはいえ)
部長はちゃぶ台に頬づえをついてじっと僕を見つめている。
多少髪の毛が乱れているがそれでもキラキラ輝くような美少年ぶりだ。
「ぶ、部長。どうかされました?」
「いや。考えてみればキミと二人っきりってのは珍しいなと思って」
「千代美先輩が片時も部長から目を離さないようにしているからですよ」
部長は全く気のない様子で「そうか」などと呟く。
(しょうがない人だなぁ)
僕はガラにもなく少しオセッキョウをすることにした。
「部長はもうちょっと千代美先輩を大事にするべきです」
部長は一瞬驚いた顔。それからやれやれと手を横に出した。
「大事にしていないように見えたか?」
僕は小さく首を縦に振った。
「まあキミにはそう見えるかもな。でも。やりかたは一つじゃないさ。キミのように今自分にできることを全力でやるのもひとつ」
僕を指さしてから、春日さんの声がする方にチラっと視線をやった。
「ボクの場合は。まずはこの体でもなんとか生活していく方法を得ること。あとのことはあとでゆっくりやる。これはこれで男らしくないかね」
「……申し訳御座いません。つまらないことをホザいてしまいました」
部長は「いいよ」と言うように手をプラプラと振った。
「ただキミたちの場合は。春日さんの側に『ライバル』がいるからね。さっさと自分の立ち位置を表明してあげた方がいいと思うが」
「意外とよく見ているのですね」
「ああ。部長を舐めてはいかん。こう見えてボクが一番マクロな視点を持っているんだ」
嬉しそうに高笑いをした。
「その証拠に。ボクは多分この中で唯一、キミが殺村さんを説得する方法を見抜いたぞ」
部長は部屋のスミに置かれた炊飯器を指で示す。
「アレを使うんだろう?」「さすがです」「楽しみにしているよ」
などとしゃべっているうちに三人娘の声が近くなる。洗面所に出て来たようだ。
「さて。じゃあボクたちも一緒に入ろうか」
僕たちは混浴した。部長のやけに白くツヤのある美肌がなんとなくトラウマとなった。
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