第6話 始まりへの1歩
ターナーに案内されるがまま、仁は「国際連合軍 司令部 最高司令官 執務室」に入った。
部屋の中は、とても広く、窓からは島全体を見渡すことができた。ここまで約2、3時間の出来事だったが、怒濤の勢いで起こった出来事に、仁はただ呆然とするだけだった。
そんな仁に対して、ターナーは自信満々に「案内は、ざっとこんなとこだが、何か質問はあるか。」と問いかけた。
仁からしたら、正直、質問だらけだが、ターナーを質問攻めにするのは、遠慮した。だから、1番気になった質問をぶつけた。
それは最高司令官という自分の地位だった。仁としては、あくまで、一人の隊員・兵士として入隊したつもりだった。そんな、軍人として経験も技術も全くないにも関わらず、何故、自分が最高司令官なのか、仁は半ば怒りを込めてターナーに問いただした。
ターナーは端的に答えた。
「それは簡単だ。ここに入隊した全ての隊員の中で、君が1番指揮官にふさわしいからだ。あくまで私の勘だがね。それに、君が1番若く、全くの素人だからこそ、物事を冷静に判断できる。だから、リーダーの素質が既に備わっているんだ。」
あまりの根拠のないターナーの回答に対し、仁は困惑した。だが、ターナーは続ける。
「俺を信じろ。しばらくは俺が、軍人のいろはを手取り足取り教えてやるから、心配するな。司令官としての仕事は、慣れてきてからで良い。」
仁はターナーの言葉に少しは安堵したが、今日はとにかく休みたい気分だったため、ターナーと別れ、執務室の横にある居住スペースの部屋で仮眠をとることにした。まだ15時を過ぎたばかりだった。
次に仁が目を覚ました時は、もう深夜0時を回っていた。本部内に深夜3時まで営業しているコンビニがあったため、そこで弁当を買い、夕食を済ませた。
そして、自室にあるお風呂に入りながら、今日の出来事を振り返った。だが、考え事にキリがないとあきらめ、その日はすぐに寝た。
長時間寝たにも関わらず、仁はあまりよく眠れなかった。昨日、コンビニで買ったおにぎりで適当に朝食を済ませ、執務室のデスクに座ると、ターナーが朝早くから、執務室にやってきた。
ターナーは朝から元気に声を掛けた。「昨日は良く眠れたか。早速のところで申し訳ないが、今日から訓練を始めよう。」仁は、眠たい体を引き起こし、ターナーに連れられ、本部からほど近い訓練施設へやってきた。
ターナーに案内されるがまま、仁は武器庫へやってきた。ターナーから、自分にあった武器を選ぶよう言われ、仁は部屋にある武器を眺めた。武器庫には、ありとあらゆる銃火器から刀剣類まで揃えていた。ターナーのアドバイスに従い、その中で、遠距離用武器と近接武器を選ぶことにした。
そして、悩んだ末、仁はハンドガン二丁と日本刀1対(二刀)を手に取った。
こうして、仁は軍人としての第一歩を歩み始めた…。
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