砂嵐に、願いを。

どうして夜は僕に優しくないんだろう。

あの子は今でも夜が好きなんだって。

なんでって聞いたらね、夜は優しいから好きなんだって。

そんなの、不公平じゃないか。


「いいこと、教えてあげる。ラジオでね、砂嵐を聴くの。それが途切れたら、流れ星が流れる合図でね、同時に視界の中で起こったらねーーーー」



僕の弟は夜って名前だった。

過去形なのは、もうこの世界に居ないから。

感傷的になっていたらあの子が、教えてくれた。

それを、これから僕は試すんだ。


『ザザァーーーーーー』


耳触りなでも何処か心地よい砂嵐の音が鼓膜を揺らす。


『ザザァーーーーーーーーーー』


途切れる様子が無いし、流れ星も流れる気配も無い。

「はぁ…」

溜め息をついたその時。


『ザザッ-』


目を見開いて空を見上げると。

「あ……、よる…おかえり、」



《同時に起こったらね、願う人の生まれ変わりが何処かで生まれるんだって》


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