とにかく読んでみて欲しい作品です。すごくいい物語です。
ここには一人の少年の将棋に対する熱い思いがあり、なんとも複雑でシンプルな恋の物語があり、ヒロインの葛藤なんかがあり、その全てをひっくるめた濃厚な人間ドラマがあります。
タイトルが暗示するように将棋をメインテーマにしておりますが、これが不思議と、将棋が分からなくとも熱い戦いが脳裏に再現されます。
まずそのことにびっくりしました。
ですがすごいのは、それだけじゃないんです。
主人公を取り巻く環境、多数のキャラクターが織りなす、恋や友情の物語、それらが端整な語り口によって分厚いドラマを生み出していきます。
なんとも魅力的なキャラクターたち、自然でありながらも驚きのあるストーリー展開、将棋を通して語られる生き様の断片。これらが心地よく絡みながら、物語を次へ次へと進めていきます。
物語を、ストーリーを、キャラクターを追いかける楽しさ。読書の楽しみそのものがここにある気がしました。
ぜひぜひ読んでみてください。
将棋が分からなくてもまったく問題ありません。
でも読むと将棋のことをもっと知りたくなるのも事実です。