第5話 華の子

「華姫様…警告したはずですよ?お早く杏様に華姫の座をお譲りくださいと」

詩は口の端を歪めた。

「そんなことできるわけないでしょ!杏は華姫に向かない。いいえ、

「どうしてっ!私は、ずっとあなたに仕えてきたっていうのに…」

戸惑う遼を朱佳は背後に下がらせた。

「遼くん、そのまま外に出ていってください。今の私は守れません」

「朱佳こそ逃げるべきだ」

「ここにいてはいけないのは遼くんの方です。早く」

苦しげに遼は立ち去った。

詩は微笑んで朱佳にありがとうと言った。

「朱佳…まだ来るには早すぎたわね」

「えぇ…もう少しお休みいただけますか…?」

「構わないわ。無位者ノーランカーを…」

朱佳は力強く頷き、お任せをと呟いて時を凍結させた。

華苑から出ると遼が待っていた。

「清らかな力…昔の朱佳みたいだ…」

「私の力ですもの…またお会いしましょう?明日も学校があるんですから」

そう言って二人は家路についた。

その姿を後ろから眺める不穏な影があった。

「華の御子…杏様よ。僕たちがあの娘を始末し、すぐに華苑の檻から解き放って差し上げます」

「そうだとも。私たちは杏様に選ばれし者。御子を華姫の座におつけせねば…」

影は四方に飛び去った。

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無位の神使い(no ranker’s war) 六華 @rikuka

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