第4話 華姫の行方

朱佳は華苑に入った。

「ここが、華苑…」

華苑の中では神の力の名残が満ちていた。

「お前が新宮学園に来るなんてな。入試前に力を完全になくしたのかと思っていたよ」

朱佳は中学生の頃は神童として尊敬を集めていたのだ。

それが突如殆どなくなってしまったのだ。

「神が、応えてくれなくなっただけです…きっと力を奢ったところがあったんだと思います」

その時、朱佳の胸元が光り、華苑の奥を指していた。

すると、ドレスを着た綺麗な少女が浮かんでこちらに向かってきた。

「ね、姉さんっ」

それは詩だったのだ。

「華姫様…行方知れずとなっていたのに、こちらにいらしたのか…」

筆頭騎士が頭を垂れた。

詩は降り立ち、目を覚ました。

「遼…?朱佳さん…来てしまったのね」

「姉さんっ…探したんだよっ」

「ごめんなさい…詩お姉ちゃん」

安心させるように詩は微笑んだ。

「朱佳さん、貴女あなた無位者ノーランカーを任せてしまって本当に申し訳なかったと思います」

「姉さんっ!天宮と会った直後に姿を消して…どうしたんだよ」

「あぁもう…遼、朱佳さんに酷いこと言っていないでしょうね?お前のせいで居なくなった、とか」

図星だったようで、遼をたじろいだ。

「謝るよ、ごめん。朱佳」

遼は頭をさげた。

「良いんです、遼くん」

「そういえば、なんで朱佳は力がなくなり、姉さんは行方知れずになっていたんだ?」

詩は良いことを聞いてくれたと後ろを振り向いてそこにいた騎士の一人に声をかけた。

「分かっているよね?あん

杏と呼ばれた二年生の少女が後ずさった。

「き…騎士っ」

すると騎士達は華姫である詩を守るはずが杏が呼んだ声に応えて杏を守るように立った。

「華姫様、申し訳ありませんね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る