第3話 身分違い

朱佳は遼に会おうとランク1の教室のある北宮に来ていた。

「あの子…無位者ノーランカーじゃない?何してるのかしら」

行き交う生徒は蔑んだ目を向ける。

「あ、あのっ」

朱佳は通り過ぎる女生徒の肩を叩いた。

「触らないでっ!なによ」

「あの…えっと…どうしたらランク1になれますかっ」

「はぁ…?分かりきってることじゃない。あなたって可愛いんだから必要なのは神の格でしょ?まぁ、無位者ノーランカーのようだから残念なほど格が低いんでしょうけど」

「…低くはないんです…」

「意味がわかんないわ。早く立ち去りなさい。無位者ノーランカーのいていい所じゃないわ」

呆れたようで優しい生徒である。

「人を…探しているんです」

「どこまでも意味のわからない人ね?無位者ノーランカーの知り合いだとしてもこんなに人目のある所で会おうなんて思わないわよ。も甚だしい。絶対命令…

この学園では上位者が下位者に命令できる絶対命令というものがある。

しかし…。

「なんで効かないのよっ」

「わ、分かりません…」

「風の神っ!こいつをっ」

風は避けて吹いた。

「何者なの…

けたたましい警告音が鳴り響いた。

人に向かって神の力が行使されたからだ。

華苑会の人々が走ってきた。

「華苑会だっ。何事だ?」

「あ、あぁ…ごめんなさいっ」

「天宮…?」

遼が驚いた表情をしている。

「知り合いか?惣田」

「…いえ。こいつのことなんか知らないですよ」

いきなり遼の表情が怨念に彩られた。

「…?」

「遼…くん…」

「名前で呼ぶなっ」

「あ、ごめんなさい…」

筆頭騎士が咳払いをした。

「ひとまず、華苑に来てもらおうか」

「連れていくなら、私だけにしてください。この方は関係有りませんから」

朱佳は女生徒を庇った。

「そうか…拘束させてもらう」

拘束しようと蔓がまとわりついていくが一向に絡まない。

「拘束、しなくていいです。行きます」

「お前…本当に無位者ノーランカーか?」

朱佳は悲しげに目を伏せた。

「そう判断されています」

朱佳は華苑に連れていかれた。

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