第2話 華苑会

新宮学園ではランク1~4までの生徒達が学習する棟をそれぞれ北宮、東宮、南宮、西宮と呼んでいる。

北宮の外れには生徒による自治組織、華苑会かえんかいと言われる会の建物、華苑がある。

そこに、新入生代表をした遼が呼ばれたのはなんら不思議なことではないだろう。

「姉さんがいた場所…まさか僕が来ることになるなんてな」

自嘲気味に遼は呟いた。

中に入り、話を聞いていると華苑会への入会を求めるものだった。遼は快諾した。なぜなら…があったからだ。

「惣田くんって本当にお姉さんに似てるねぇ」

「…そうですか?」

「そうだよねっ?筆頭騎士サマ」

華苑会は長を華姫はなひめと呼び、残りの会員を騎士として序列を設定している。筆頭騎士ということは華姫に次ぐ実力者ということだ。

「あぁ…俺はそう思うよ」

「先輩、伺いたいことが…」

筆頭騎士と呼ばれた男子生徒に遼は真剣な顔で話しかけた。

「いいぞ、なんだ」

「現華姫様は?姉の次…第50代はどなたなんですか?」

その場の人々の顔が強ばった。

「惣田…華姫様はいない。受け継ぐべきモノがないから指名も出来ないんだ」

「”神ノ指輪”…違いますか?」

「なんだ…知っているのか…そうだよ。惣田の姉…惣田詩そうだ うた様が失踪される前…学園祭のころからない。どうやら詩様が仰るには"持つべき者に渡した。その者が最後の華姫だ"と」

遼は思案顔になった。

「そうですか…探さなければならないって事ですね」

「あぁ…詩様もだ」


そんな話をしている頃、朱佳はHRで自己紹介をしていた。

「天宮朱佳と申します!この学園に来たのは、華姫になるためですっ!よろしくお願いします」

華姫、という言葉を聞いてクラスはざわめいた。

「私達は無位者ノーランカーなんだよー?」

みんな出来るはずがないという目を向けた。

「い、いつかなるんです…」

「まずはランク1にならなきゃなー」

朱佳は容姿端麗、頭脳明晰。なのになぜ、ランク1ではないのか。それは一重に扱う神の格が低いのだった。

「神様使えれば…」

朱佳は前途の険しさに頭を抱えたくなった。

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