無位の神使い(no ranker’s war)

六華

第1話 新入生

貴方あなたのそばにいたかっただけ…ただそれだけなのに、それは許されないことだったのかな?……くん」

消え入る体をかき抱き、涙を流しながら少年は答える。

「そんなことないよ…僕の傍から離れないでよ…君はみんなを救ったんだ。君こそだ…」

一際強く少女の体が発光し、一言が残された。

「私のマスター



神使いのための学校、新宮学園しんぐうがくえん高等学校。

神使いは特異な能力を持つ者であるため、一握りしかいない。そのため、この学園に入ることが義務付けられていた。

もちろん…優等生も、劣等生も。

神使いは神の力を自身に降ろし、行使する人々である。

そんな学園は一学年、1300人。

ランク1~4にそれぞれ約300人ずつ所属している。

では、残りの100人は…。無位者ノーランカーと蔑まれる対象になっていた。

春の日、今年もまた1300人の新入生が入学することになっていた。

「ー新入生代表、惣田遼そうだ りょう

新入生代表挨拶が終わった。代表の遼はランク1。その証に、白の制服に黒のシャツを着込み、紅のネクタイを締めている。ランク2はネクタイが青、ランク3は黒の制服に白いシャツを着込み、紅のネクタイを、ランク4はそれに青のネクタイを締めている。

遼を遠くから見つめる新入生の少女の姿があった。

その少女が纏う制服はどのランクの制服とも違う。黒の詰襟に同じく黒の膝丈のスカート。靴下と制服の合わせ目だけが白で全体的に黒っぽい。その制服を一目見れば、その場の人々は蔑んだ目をするか、目を逸らすだろう。なぜなら…彼女は無位者ノーランカー

(わぁ、遼くんすごいなぁ…)

事実に悲観することなく、ただただ幼馴染みを称賛する少女。彼女は天宮朱佳あまみや しゅか。遼に片想いをする女の子だ。

(でも、これは身分違いって分かってる。遼くんはランク1で私は無位者ノーランカー。とても話すことすらできないもの)

考え事をしているうちに入学式が終わってしまったようだ。


朱佳は新宮学園の歴史に残る少女になるのはまだ先の話。

朱佳の学園生活はこれから始まるのだから…

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