貴重なのは、生きている今

 「待って。寺町くん。ごめんなさい。

気悪くさせたよね。

でも…、。私が言える事じゃ無いけど、

私、寺町くんだけには嫌われたくない!」


・・・えーーーづ!

 まっ、、ままさか、。

ふっ、僕にもこんな日がくるなんてな。

「三島さん?

ごめん…。悪いけど、僕の妹渡すきない。

つーか、僕の妹彼氏いるから。」

よし!

こんな感じの態度とっちゃえば大丈夫!

なめられたりしないって。!!…たぶん。

でもなー…。

こわいなー。よーぅっし!

「瑠美(妹)!

逃げるぞ!!!」

 ふぅーーーー。、

ここまでくればおいかけられるはずはない。

「なにしてんだよ。兄貴!

おまえ、あんな美人二度と現れてねえぞ?」

「僕に気があるってか?

まっ。どっちにしろ僕には…

瑠美ちゃんしかぁ。見えてないよ?!」

「イー加減、ベタベタやめろ。

おまえはおねえか!」

「…」

「どーした!

兄貴!いきなり倒れんな!

救急車か!!?」

 僕を揺さぶる瑠美。

だが、僕はもう意識がなかった。

 

~回想ー

 僕がかかえているもの。それは、治る見込みのない 「がん」 だった。それに気づいたのはちょうど二年前。中学二年生の頃だった。性別など関係なく大切であろう青春時代に、僕はカツラが必要になった。いつ死んでもおかしくないやつがそんなこと気にする必要があるのか、とでも言われそうだ。

 だが、死を近々迎える僕としては「がん」という重い事実よりも、生きている今が貴重なのである。だから…。だからそんなこと…そんなことだけは、

..大好きな…、僕の大好きな瑠美にだけは、知られたくなかった。



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