2.ステータス

自分が女の子になってしまったことに気づいた僕が困惑しているうちに学校に着いた。前世を思い出した時点では学校に着くまでに数時間はあったはずだが、それだけの時間放心状態だったということなので僕が受けたショックの大きさもわかるというものだ。ある程度落ち着いてから馬車を降りた僕は学校へと入っていった。

校内に入ってからまず最初にステータスの確認をする決まりになっている。教師や親に見せる必要はなく、多くの人はこのタイミングで初めて自分のステータスを知ることになる。当然僕もその決まりに従い、ステータスの確認へ向かった。ステータスは通常F〜SSで表される。ちなみに入学試験などはない。受付にある水晶に触れることでステータスが自分の目の前に表示される。ちなみにこれが僕のステータスだ。

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ミレイア=ドル=クラム

体力:B

魔力:SS

腕力:F

脚力:D

走力:S

防御:S

知力:SS

幸運:SS


魔力操作SS、魔力自動回復SS、体力自動回復SS、成長率上昇SS、成長速度上昇SS、全属性魔法SS、調査SS、女子力EX、神託1/1

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ステータスの確認を終えると自分が入るクラスを告げられた。クラスはA~Dの4クラスがあり、僕はAクラスだった。クラス分けはステータスなどとはまったく関係なく完全にランダムで振り分けられることになっている。

入学式まで時間があるので僕は馬車で待つ両親の元へ戻った。


「おかえり。ステータスはどうだった?」


「どのくらいが高いのかわからないよ。今出してみるね。」


そう言って僕はステータスを表示した。自分のステータスは一度確認するといつでも自分の意思で表示できるようになる。自分だけ見えるようにすることも出来るし、誰でも見えるようにも、特定の人しか見れないようにもできる。今回は両親のみに見えるようにした。僕のステータスを見た両親は


「え!すごいじゃない!お父さん見て!」


「ああ。これは凄いな。色々とすごいが、女子力EXとか言うのもすごいな。これなら将来どこにでも嫁に行けるぞ!」


と、2人とも褒めてきたが僕はお父さんの最後の一言に落胆していた。何故か女の子になってしまったとはいえ、僕は男だったのだから女の子の方が好きだし、何よりも僕は男らしくなりたいのだ。少し話して両親との会話を切り上げた僕が


「ちょっと散歩してくるね…。そこら辺の森にでも行ってくるよ。」


僕が憂鬱ゆううつな気分を沈めるためそう言うと、おそらく僕が少し落胆していたことに気づいていたのだろう、ひとりで行くことには少し難色を示したが最終的には許してくれた。僕は迷わないように周りの木に両親から渡された短剣を使って目印をつけながら森の奥へと進んでいった。

5分ほど歩いたところにそれはあった。とても綺麗な湖だった。


「どうしてボクこんなことになっちゃったんだろう…。はぁ…。」


水面に映った自分の顔、綺麗な長い金髪の少女を眺めながら僕はそう呟いた。しばらく青く澄んだその湖を眺めていると、それだけで憂鬱だった気分が少しずつ晴れていくのが分かった。そのまま数分経ち、気分が落ち着いた僕は両親の元へと戻った。

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