第1章 転性と入学

1.転性と目覚め

そして僕は異世界に転生した。目を開けると視界に知らない天井が映った。視界の左右には金髪の若い女の人と銀髪で角と羽の生えた若い男の人がいた。2人は笑顔でなにか話しているようだったが何も聞き取れない。首は回らないし、声を出そうとしても言葉にならなかった。左右にいるのは恐らく両親なのだろうと思いながら僕は深い眠りについた。


気づいたら僕は馬車に乗っていた。名前はミレイア=ドル=クラム。ドルは貴族の中でも魔族の名前につく名でエルフや人族の貴族だと別の名がつく。クラムは家名だ。年は5歳になっていて、それまで過ごした記憶も残っていた。言葉や文字、親についてや自分の名前も把握出来た。母はエルフ、父は魔族であり、自分はそのハーフとして生まれた。この世界には元の世界のライトノベルにあったような亜人差別は全くない。

そうやってこの世界での僕の記憶を整理していくうちに僕はあることに気づいてしまった。


「ふぇぇぇ!?一体どうして…。」


「どうしたの?」


「何かあったのか?」


あまりのショックについ大声をあげた僕に対して両親が心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫、なんでもないよ。ちょっと虫と見間違えてびっくりしちゃっただけ。」


僕が馬車の床にある木のシミを指差しながらそう言うと両親は安心したように前を向いた。

この世界では5歳から学校に通うことになるらしく僕はこれから通う学校へ向かっていた。この世界の学校には魔術学校、武術学校、学術学校の3種類があり全てが全寮制になっている。僕はそのうちの魔法学校に入学するために王都へ向かう馬車の中にいる。

その移動中、ついに僕は自分が女の子として転生したことを知ってしまったのだった。

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