第6話
リンゴが落ちたから引力が在るのではない。
引力が在るからリンゴは落ちるのだ。
超常的な現象を使役するにしても、どういうものか理解する必要がある。先程「回復」して見たがどうにもしっくり来なかった。
元現実を主軸に考えているせいで、「回復」には体組織の自己修復機能を高めることしか考えていなかったようだ。これではただ細胞を酷使し死に近づくことになる。乱暴に言うならば高齢者を「回復」させようとするとその回復場所の細胞が逆に回復できず死滅、壊死も考えられる。
だがカミサマの力による、と一概に言ってしまうと宗教家の信仰と布教の言葉と同じになってしまう。何がわからないことは全てカミサマのお陰、では信じたもののみ使える正体不明の「何か」だ。
そんなもの、自分には使えない。熱心な信仰者などではないのだ。そこに救いを求められていたならそもそも「ココ」には居ない。
「回復」ならば身体に負担なく元に戻らなければいけない。元現実で言うところの「魔法」だ。
だが「魔法」にも原動力となるものが必要だ。他の力を使って、そのものを動かす。
頑なな常識は、元現実から持ってきてしまった『害悪』なのだろう。それでも、まだそれは自分にまとわりついて離れていない。まだ、割り切れていない。
割り切れていないなら、その状態でも出来るような『選択』をする。
話がずれてしまった。
超常的なソレは何を原動力とするか。
「ソレ」の力自体はカミサマでもいいかもしれないが、何もなしに原動力を渡したりはしないだろう。サポーター、と名の付いた存在ならば実益関係なく役割をこなすかも知れないが、そういった存在は得てして何かしらの利益を得なければ動かないだろう。
今この次元ではないところに別のエネルギー体があったらどうなるだろう。そのエネルギーが力の原動力である、と『選択』すれば。
車を走らせるのにはガソリンや電気が必要だった。それが別のエネルギーに置き換わるなら考えやすい。そしてそれは「扱いやすく、扱いにくい」物でなければならない。そうでなければ自分など「その他大勢」で終わってしまう。自分だけの、自分のための世界なのに。
ほんのちょっとのコツと、ルールを『選択』し、優位に立てる工夫をする。
ただ穴を掘るだけでは油田は見つからないのだ。掘るための知識、技術、運が必要なのだ。それを応用すれば、解決できると思う。
いや、そうでなければそろそろ考えが尽きる。秀でた能力を得るのは「この世界」からなのだ。元現実ではなんにもならなかったのに、スパッと切り替わることなんて出来やしない。
頭に直也を乗せたまま、コマンドウインドウを開く。
どうやら考えていたことがこの世界の『選択』として浸透したようだ。
わかりやすく、状況が整理され表示された。
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