第5話
戦うなら剣。
しかも大きいやつがいい。
実際使うなら銃やナイフ、それこそなんでもあり超常的なソレを『選択』するのが実情良いはずだ。
多分楽でもある。
それでも自分の中のアコガレは「大剣」なのだ。
使いにくくても、多分この世界では「使いやすく」なっているはず。
自分の世界なんだ、そういう風に出来ていないと寧ろおかしい。
手に馴染むように世界に顕現するソレ。
まだすべてが『選択』出来ていないのか薄ぼんやりとした認識しか出来ないが、たしかにそれは大剣のはずだ。
「遊ちゃん、まだ決め兼ねているの?そこまで『選択』出来ているのに」
「しゃーないじゃん、大事なコトでしょコイツは」
手の中で少し熱を持ったソレが「まだかまだか」と急かしているように感じる。
それは自分が急かしているのかもしれないが、「急かされている」と考えるのが楽でいい。『選択』も気が楽になる。
大剣、それも一凪で全てを斬れるような鋭いものがいい。
顕現は自由、それでいて■■■を纏う。
決めかねた■■■は後回しにしよう。所謂「属性」というものだ。が、いまはチュートリアル。素の状態を把握することが必要なはず。
細かい『選択』は後回しにして、先ずは向かってくる朔サマを止めることにする。
朔サマの大鎌を、大剣で受け止める。
顕現できたそれは少し誇らしげに光を反射しているように見えた。
技名とかも必要なのかと思ったが如何せん厨二過ぎると思って今は止めておく。
「ようやく『選択』してくれたわね、その子のお名前は?」
「まだ未定!」
数回打ち合いをくり返す。
ぼんやりとした刀身の全体像が認識できる。如何せん大きすぎた気もするが、今は朔サマの攻撃を受け流す。
ふと、怪我をしたら痛いのかなー、と思ったところで朔サマの鋭い一撃が隙きをつく。
攻撃を受ける『選択』をしてしまったらしい。
痛い。
が、我慢できない程ではない。
これがお目々飛び出るぐらい痛かったらお外一歩も出ない宣言をしようとしたので良かった。
回復する手段を『選択』する。
ふわっと桜が舞い、傷口に当てた人差し指がほんのり暖かくなった。
−−−次の瞬間には痛みと傷は消えていた。
一応これで攻撃手段と回復手段の『選択』が終わると朔サマは少し残念そうな顔をして元のふわふわした状態に戻る。
「とりあえずここまで、でしょう?」
「さすがわかってらっしゃる。今日はもうお休みするっ」
猫状態にして頭の上に乗せると、踵を返す。
大剣も霧散させそそくさと退散する。
一度に進めすぎると後が続かない気がして、つい楽な方を『選択』した。
後々に面倒が待ち受けるのは『選択』しなくても見えているけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます