SCP-240-JP「0匹のイナゴ」について

え?なにも居ないって?


オブジェクトクラス:Eucild


SCP-240-JPの収容方法はわりと単純で、各個体を一体ずつ隔離し、定期的に餌をやり、異常がゲージ内で確認された時には担当の研究主任に連絡すること、これだけです。まあこれでSCP-240-JPの総数が多ければ考えものでしょうけど、たった0匹ですのでとても楽です。そんな一体一体での作業が苦になる作業でもないですし、収容方法としてはかなり楽だと思います。目を離した瞬間に首へし折りにくるコンクリートSCP-173が同じオブジェクトクラスだとは到底思えませんが、現財団は「とりあえずわけわからんからEucildで」みたいな思考のもとこのオブジェクトクラスに指定したのだと【終了処分】

SCP-240-JPは、限定時のみの改変能力を持つ0匹のイナゴです。本当に「限定時」以外はただのイナゴです。いっつのーまる。

体長も一般的な成体イナゴと同じくらいですし、特異性も別にこれといってエグいものも持ってません。何度も言いますが、「限定時」以外はただのイナゴです。間違いないです。断言します。

「限定時」とその時発現する能力は、SCP-240-JP0匹のイナゴがなにかしらの理由…捕食だったり焼却処分だったり寿命だったりで絶命した時、「絶命をなかったことにして」総数を減らさないようにするという実質不死身の体を手に入れたイナゴです。

数式で表すとa-2=a(この時の2体「死んだ」事象は「なかったこと」にされている)という感じですね。aという総数…まあ0匹なので0でも代入しましょうか。0-2(0匹から2匹絶命させた)の時、この絶命した2匹は「死んだ」事象を「なかった」ことに「現実改変」を行い、結果、総数は変わらず0匹を維持する。こんな過程でSCP-240-JPはずっと収容当時から0匹を維持し続けているのです。今現在も0匹であることがこの証拠です。

ちなみに事実上のこととして、実験で4匹、事故で【編集済み】匹死亡していますが、変わらず総数は0匹です。

このSCiPは今まで紹介してきたSCiPとは違い、人工的に制作されたものです。

日本生類創研(得体の知れない化け物を生み出してる研究企業)が研究所として使用していたと思われる場所にてSCP-240-JPを収容。その後調査を進めていくと、本棚の隙間に日本生類創研が残した研究レポートが残されていました。

名目上の題名は「災害や外来種の侵入などに起因する種の絶滅を回避する生態系の開発」

…あれ?真面目?

レポート内には編集済み個体を交配させ、SCP-240-JP0匹のイナゴを生み出し、「死ぬ事象をなかったことにする個体」が作られ実験が成功した旨が書かれていました。そしてレポートの最後の「今後の課題」に相当する欄に「0匹って少なくね?一回のイナゴの産卵で生まれる個体の総数的にはとても少ないと思うけど…編集済み個体を掛け合わせたことによる副作用かな?今後の課題としよう」という一節が書いてありました。まあレポートの内容は以上です。


ではまとめに…え?

0匹って居ないのと同義?なんのことでしょう。ゲージの中を確認して下さい。しっかりと「0匹」居るでしょう?




ータネ明かしー

ここまで読んだら「0匹ってなんだよ!?」ってなってるかもしれません。ですが安心して下さい。0匹って居ないこととおんなじです。null。何もない。

じゃあどういうわけで0匹なんて言ってるんだよってことですよね。最初に数式で表したように表してみましょうか。

a-2=b(b→a)

今回はa=10にでもしましょうか。10-2(10匹のSCP-240-JPのうち2匹処分する)とき、普通に数が減って8匹になります。b=8。

ここでSCP-240-JPの特異性が発現し、減ったbの値をaの位置に代入します。つまり式的には8-2=8という式となり総数は変わってないように見えるわけです。

つまりSCP-240-JPの特異性は「死んだ事象をなかったことにして総数を減らさない能力」ではなく「元々の総数を減らして総数を減らさないように見せる能力」だったことです。死んだ事象をなかったことにするのは現実を改変しているので「現実改変能力」だったわけですが元々の総数を改変、つまり過去を改変してるのでそのまま「過去改変能力」をSCP-240-JPは有していたわけです。

追記ですが、一応財団が確保した時には1匹以上SCP-240-JPは存在していたようですよ。そういうことでSCPが作られていたわけでした。


というわけでまとめ。「0匹ちゃんとゲージに居るよ!」でした。次回は未定…ではなく、念願の20個目になるので現存しているSCiPを紹介させて頂きます。

次回のヒント「0」。はい、お楽しみに〜。

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