SCP-835-JP(ゼノh…消照闇子)

日本の伝統文化オタクぶんかの成れの果て。


 オブジェクトクラス:Keter→Safe


 SCP-835-JPゼノフォビアは性質上、収容することができません。不可能です。とりあえずSCP-835-JPゼノフォビアのせいである可能性が含まれる事件には担当エージェント軍団「篝火」の指示に従って動いて下さい。

 エージェント軍団「篝火」に当たっている職員は現場を封鎖し、SCP-835-JPゼノフォビアの性質と殺害方法、及び死体の行方を調査して下さい。なお、該当する事件は出来る限り別事件に偽装し、そのサイトにいる職員の士気を下げないように務めて下さい。というのが特別収容プロトコルの要約部分でした。

 現在は、「プロトコル・アイドル-835」によって無力化されています。


 プロトコル・アイドルとは、上記のSCP-835-JPゼノフォビアに対応するチームに所属していた博士の助手が自身の机の上で描いていた「擬人化」です。俺らがよく見る「ケモミミッ子」とか「SAN値削ってくる神様くとぅるふ」とかと同じ感じで描いていた言わば「息抜き用趣味ノート」を机の上に出しっぱなしにしていてしまったんですよ。うっかり。

 それを運が悪いことに同僚がノートを見つけてしまい、なにか食べ物の恨みでもあったんでしょうか、あろうことか博士に提出してしまいます。博士が本人に聞き、ノートの所有を本人が認めると、なんと博士はSCP-835-JPゼノフォビアが出没していたサイトの一角にこのノートを展示し、公開処刑を喰らわせたんですよ!

 完全に生き地獄でしょう!?もうそうなると博士の正気を疑いますよね!しかもですよ!?展示するだけでは飽き足らず、異動処分まで喰らっているんですよ!もうわけが分かりませんよね!


 …で、なんで「プロトコル・アイドル_835」の話なのにそんな話をするかというと、これこそがプロトコル・アイドルの元となったからです。「は?」ってなった方静かに手を上げて下さい。…まぁ残念ながら分からないんですけどね、手を上げている人が何人いるかなんて。

 この「助手晒しあげ事件」の後、SCP-835-JPゼノフォビアの活動周期である3ヶ月どころか5ヶ月ほどしてもSCP-835-JPゼノフォビアによる被害がなかったため、その時異動処分を行った博士が関連性を疑い、割と細かく設定されていた助手のノートを参考に「プロトコル・アイドル-835」を実行しました。

 内容は簡単、まずSCP-835-JPのオブジェクト名を「ゼノフォビア」から「消照闇子けてるやみこ」へ変更。容姿などの具現化(黒の学生服を着用(だいたいセーラー服)し、黒の長髪を持つ10代後半~20代前半の少女であり、この世に存在しても良いのかと本人に聞きたくなるほどの美しさを持っている、などが容姿。この他「財団に敵対する組織に誘拐され殺人鬼として教育されてた」とか「暗闇から暗闇へテレポートし、対象を包丁でブスリと」など非常に様々な設定が施されている。なおこれらの設定はほとんど助手のノートからのものである。想像力ゥ…)し、それを財団内のイラストレーターかみえしによってデフォルメデザインしてもらい、それのイメージをサイト内の職員にチラシや広報誌、コラボ商品なんかによって刷り込みます。さらに報告書も以前のSCP-835-JPゼノフォビア時代のモノを抹消し、SCP-835-JPけてるやみこを連想しやすいものへ変更。

 また、財団が総力をかけてSCP-835-JP《けてるやみこ》を題材とした同人誌、同人アニメなどの制作及び閲覧を推奨する。というもので、この成果もあってかSCP-835-JPけてるやみこによる被害が消滅。現在も財団が総力を挙げてまで推奨してはいませんが、SCP-835-JPけてるやみこが描かれたポスターやコラボ製品は健在な上、SCP-835-JPけてるやみこをモチーフとした創作会を財団主催で行っています。


 SCP-835-JPけてるやみこの正体とは、ずばり我々が「暗闇に対して抱く恐怖の具現化」であり、SCP-835-JPゼノフォビア時代は「暗闇から得体のしれないなにかが未知の方法で殺害する」という固定概念により殺害が起こりましたがSCP-835-JPけてるやみこ時代に変わってからは「暗闇が好きな陰気系アイドル」という認識に変わったため、もう活動を起こさないのであろう、と例の博士が報告書を締めくくっていて終わりです。

 いやーハッピーエンドですね~。


 でも普通に考えて博士を許してはいけないと思います。ハイ。


 久々のまとめです。「いっけなーい、殺意殺意!私、暗闇に潜む陰気系アイドル消照闇子!育て親の【規制済み】団体の皆に恩返しを考えていたの☆でも、「SCP財団」なんてへんてこな軍団が来てもう大変…私の恩返し計画を邪魔する奴は私の包丁で消してやるんだから!次回、「恩返しは鉄の味」お楽しみに!」ってことです。多分。

 残念ながら次回は「恩返しは鉄の味」ではなく「雨が唄う別れの曲」でお送りいたします。



余談:財団内で行われたアイドルコンサート的行事にまさかの実体化したSCP-835-JPけてるやみこが収容違反して突如ステージに登場。財団職員は本部に連絡するどころかむしろワイワイ騒ぐこととなりました。

 SCP財団日本支部は今日も平和です。

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