SCP-062-JP(生存権)について

 オブジェクトクラス:Keter→Neutralized


 あなたは生存権を侵害している。


 SCP-062-JP-1の周囲には常時2名以上の警備職員を配置し、遠隔カメラで梯子を中心に映像を記録して下さい。

 影響範囲がかなーり大きいため、完全な封じこめは困難である。とされているので、影響範囲外へと住民を逃がすことを重心に据えて行動されています。どんなことしてるかっていうと棒『先の無い扉SCP-1983』のような植物工場を作って偽装みたいな優しいものではなく、

 1.SCP-062-JPの周辺の地域を買い取って、高層マンションなどを建てるという嘘をでっちあげで騒音を出し、住民に移住してもらう。

 2.送電施設を操って定期的に1~2時間停電させて、電子機器の使用回数を減らすとともに移住してもらう。

 みたいな感じで、ものすごく嫌がらせを起こして住民に移住してもらおうじゃまものにはどいてもらおうとしているような感じです。後は、標識に英語やらなんやらを書きまくって標識の空白を減らしたりしてますけど、特に何もないのでカットします。


 SCP-062-JPとは、広域に及ぶ致死性の認識災害です。

 SCP-062-JPは、SCP-062-JPキャリア、という状態となった対象者にだけ見ることの出来る文字情報として…かなり噛み砕いて言うと、「SCP-062-JPキャリア」という状態になってしまった人間だけが見ることの出来る文字列です。文字列というのは…解説しなくていいとは思いますけど、今あなたが読んでるコレ。これだって文字列です。要は文章なわけです。


 そして、その時に現れる文章を要約すると、


『あなたを同一性保持権の侵害で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたの存在が原告人の生存権を意図的に侵害しているからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!』


 となります。本来の実物はもっと真面目に裁判で出てきそうなヤツになってます。少なくともワザップではないです。


 これを見て「は?」って思う人を、俺は尊敬したい。正直な話すると「同一性保持権」なんてのを全くもって知らなくてですね…「はえ~、なんかヘンテコ文章だけどおかしいのって謎法律でっちあげってことかな〜」みたいに考えてました。んなことありませんでした。しっかりと「同一性保持権」は日本の法律にあるよ!俺はこの記事を書くにあたって調べて始めて知ったけどね!


 んでその「同一性保持権」、どういった内容なのかと言いますと「著作権」の内の一つなんですね。かなり噛み砕きまくってかき氷クラスにまで砕いて書くと「著作者が嫌がっている文章改変、建築物なんかは迷惑になるし著作者キレるからやめようね!」って法律なんです。つまり、SCP-062-JP関連のこの文章に書いてある「同一性保持権の侵害」なんてのはでっちあげです!それに伴い生存権の侵害もでっちあげです!みたいな感じで謎文だったわけですね。


 もちろんながら、この文章が出てくるだけならsafeなんですよね。


 SCP-062-JP-2れいのぶんしょうを見えるようになってしまった人は短くて3日、長くて7日で死に至ります。死因ですか?身体の一部の消失です。極端な例を出しますと、耳以外全消失なんてパターンもあったり。上の元文章を書いた人は5日目に、右上腕・小腸・左心房を無くした状態で死んでました。

 皆大好き記憶処理も役に立ちません。文章が見えなくなっても突然死はまぬがれません。対象者キャリアとなる人物にも規則性はないです。条件も不明です。その文章を見る時というのは、標識や紙のような余白が余っている所を見た時に見えてしまいます。一番余白があって全員見やすいのは電子機器。つまりスマッホだったりを使用していると死にやすくなるんですね。おそらく。

 分布表に表すと、SCP-062-JP-1の近くの人ほど対象者キャリアに選ばれやすいようです。SCP-062-JP-1の近くに在住してる方は引っ越しの準備した方が良いですよ。


 SCP-062-JP-1は【閲覧不可】の【規制済み】に存在する、現在は放棄されサビだらけの電波塔です。上層部が何故かずっと雲で覆われており、なにやら物寂しい雰囲気を漂わせています。が、雲があるあたりから電波塔に上は存在してませんが、下から見ると普通に真ん中で雲に隠れている…特に雲が厚いわけでもなし…というわけで観察班がどんなのか確認してきたそうですよ。結果は「境界線で雲が出現している」という意見で満場一致しました。


 しかしまぁ、見るだけで死ぬ文章と雲で覆われた電波塔。なにも起こらないわけでもなく…

 主に財団が何もしないわけでもなく…


 SCP-062-JP生存権無力化計画を財団は実施しました。内容はとても簡単。「解体してバラして無人孤島に移転いどうする計画」です。財団はいつものようにお金を使い、一回目はダンプカーなど重機、二回目は爆破、三回目は土台ごとひっくり返そうとしました。が、そこはSCP。全部失敗に終わりました。

 …え?三回で財団は諦めたのかですって?まぁそれは後のお楽しみにしては?ヒントとしてはオブジェクトクラスです。


 外部からの攻撃による解体バラしを失敗した財団は、内部から破壊しようと考えました。調査を進めていくうちに境界線の部分本当に異世界に通じてるかもしれないことが分かりました。というか通じてました。「かもしれない」じゃないです。もう確定です。ハイ。

 財団はエージェントを8人配置し、内部へ突撃させました。もちろん武装を持たせ、未だキャリアとして認識されていないエージェントを。

 結果から言うと失敗しました。しかし財団はエージェントを8人犠牲にし、色々な事を学びました。

 それは「電波塔の上にはもう一つ世界があったこと」「そこは地上と差異はなさそうなこと」「地上と異世界には瓜二つの人間がそれぞれに存在していること」…そして、「異世界側の人間は地上側の人間に(裁判所曰く)同一性保持権を侵害されていること」。

 隊長は同一性保持権の侵害により殺害され、8人中4人が法廷侮辱罪で殺害。残ったメンバーも一週間以内に身体の一部分を無くし死亡しました。使い捨てです。(いつものこと)


 しかし、そんなことでめげる財団ではありません。財団は超広範囲攻撃武装【規制済み】を使用してSCP-062-JP生存権の無力化を図りました。が、失敗。【閲覧不可】や【データ削除済み】、【表示失敗】などの被害を出しておきながら結局街を破壊出来ませんでした。

 この時、作戦を決行する指示を出したのは軍隊長で、処分は審議中です。


 第三次派遣において、財団はついに大きな成果を挙げることが出来ました!その報告書内に一部始終が載ってあるハズです!俺も始めて開示します…!(編集段階において)さてさて…


 結果:筆記ーT博士

「彼らを言いくるめました。」


 …以上です。え?もっとあるだろって?いや、追記とか無ければこれで終わりなんですよ!マジです!本当です!信じて!

『追記が無ければ』の話です!ハイ!追記文も書きますよ!

 ただ、ストーリー性が溢れるタイプのアレで、削除依頼が来てもアレなので報告書を参考にしながらストーリー風に書こうと思います。


 ーーーーーーー


『第二次派遣作戦』による被害の調査のため、機動隊員と共に私はSCP-062-JP-1内部空間に入りました。財団本部は人件費をケチり二名しか機動隊員をよこしませんでした。

 梯子を上るのは大変でした。


 前の作戦により危険因子だと把握されたのか、梯子の先には封じ込め処置が施されていました。元々報告書内でフタだった部分は鉄格子に代わり、報告書にはなかった入り口を覆う建物が建ってありました。彼らは私たちが来た事を確認するやいなや、すぐさま私たちを捉え牢屋に入れました。牢屋、といってもそこは拘置所のような場所であるらしく、私たちの他にも捕まった人は居るようでした。ああ、もっとSCP-【規制】-JPで遊んでおくんだったな。なんて考えながらそこで数時間が経過しました。


 そのあと、やや乱暴に連れていかれて『例の』法廷へと連れていかれました。そして、最初に私が証言台に立たされました。報告書通りの判決文が読まれ、報告書通りの判決を受けました。慈悲なのか決まりなのか、裁判長は私に「何か意見はありますか?」と聞かれました。ふと横を見ると原告側に「私」が座って、死んだ目をしながら私を見ていました。


 私は「私」に尋ねました。「そんなに生き残りたいですか?」

「私」は私にこう返しました。「はい。」

 その声に、その場にいるすべての声に、その場にいるすべての顔に生きている感じはしませんでした。

 静かに思考を巡らせ、私は思い至りました。彼らはのではないかと。報告書にも、彼らはただ歩き、ただ仕事し、ただ眠るだけだったと記されています。


 私は主張しました。

「私にはやるべきことがある!私だけでなく、この世界のために!危険をおかし、命をかけ、異常な存在たちから何も知らない無罪の人々を守り抜かねばならないんだ!

 私は今の今まで生きてきて、自分の命をたったの一度も惜しいと思ったことはない!しかし、私は私自身の目的のために、目的を果たすまで絶対に死ぬことは出来ないんだ!」と。


 彼らはとても静かに私の話をずっと聞いていました。話し終わり、ふと周りを見渡すと彼らはとても驚いた顔で止まっていることが分かりました。それを見た瞬間、ふと「その言葉」を思いつき、特に何も考えぬまま発してみたのです。



「上告します。」



 その瞬間、今まで平気そうだった裁判長、書記、弁護士、検事がみな銃を乱射されたように血を流し、床に伏していきました。傍聴席に居た機動隊員に目で聞いてみた所、「俺たちじゃない」と首を振りました。数分間の「乱射」があった後、急に静かになりました。私たちは倒れた彼らを調べました。私は「私」に近寄り触れてみました。すると、触れた所から霧かなにかのように消えていきました。

 直前、「私」は私に「あなたはどこへいくのですか?」と聞かれましたが答えることは出来ませんでした。

 騒ぎを聞きつけた警備員が扉を破り、銃を構えながら入ってきました。そこに外から突然爆発音か聞こえ地面が揺れました。一度や二度ではありません。何度も何度も爆発が起こり、警備員は慌てたように外へ走っていきました。


 突然のことに驚きながらも何故か冷え切っている頭を使い、そして気が付きました。これは、もしかすると第一次遠征時と第二次遠征時の攻撃の作用が時間差で今現れたということ。そして、消えた裁判所ーーもしくは消えた「私」を中心に霧が晴れていくように徐々に消えていっているのだと。


 混乱している機動隊員を叱責し、正気に戻して梯子へ向かいました。私たちは爆撃や銃撃によって瓦礫が飛び交う広場を走り抜け、梯子の建物へ辿り着きました。扉は空いており中に誰も居ませんでした。もう時間はありませんでした。もし仮に手遅れになれば?…考えたくありません。ですが、行き着く先は決まっているようなものでしょう。

 彼らの作った入り口の封じ込め施設を内側からすべて封鎖し、最後にフタを機動隊員が閉めました。閉める直前にとてつもなく大きな揺れと大きな音が私達を襲いましたが、フタを閉めるとそれらは消えました。


 霧のように。最初から何もなかったかのように。


 ーーーーーーーーー


 いかがでしょうか?以上の文章は俺が結構削ったり言い換えたり、はたまた追加したりしてるので原文を読むことをお勧めしますよ。俺の文章力はたかがしれてますので。


 …この後の話ですか?SCP-062-JP-1上部の雲が晴れて、キャリアの出現は見られてないようですよ。財団はこのオブジェクトをNeutralizedに再分類し、監視のみを行っているようです。平和ですね。ハッピーエンドです。ちゃんちゃん。


 これで終わりなんですがね、ある意味このSCPは何かを俺たちに伝えることの出来る文だと思いませんか?

 あなたは、?少し考えてみて下さい。


 生きる目的は、生きる権利よりも強いんですよ。

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