プラトニック
ゆぅ
第1話
あの人は当時の僕の全てだった。
夢であって欲しかったと思いながら僕は誰にも話せなかった想いをここに書き綴っている。これがあの人の目に止まらないことを祈って僕は筆を取ることを決めた。
子供だった僕はあの人の魅力にどっぷりハマってしまった。今はもう残っていないけれど脳裏に焼き付いた甘い時間はすぐに消えてくれるはずもなかった。あの人が僕に好きだという声はこの上ない程心地よかった。
それが嘘だと知った上で、僕はあの人の作り出す夢に溺れていたかった。
きっとそれが僕の人生で一番の過ちだったと今更ながら思う。
あの人は、決まって嫌いと言って僕の反応を見るんだ。そして満足したら飼い犬に餌を与えるように「嘘、好きだよ」と言ってくるんだ。僕はそれがたまらなく好きだった。
あの人のためなら何でもできると、本当にそう思っていた。僕はただ、あの人のことを想っていた。
でもこれは愛なんかじゃない。
ぼくはただ
あの人に恋をした
今は毎日のように会話をすることもなくなったが、あの人から連絡が来ると今でも胸が痛くなる。あの人のために何が出来るだろうか、どうしたらあの人が喜ぶんだろうか、そんなことばかり考えている。
あの時から僕はあの人の檻の中だ。
一生僕はここから出られない。いや、出たいとも思わない。
今は、寂しさを紛らわすためにほかの人と付き合っている。それはそれで幸せだった。
でも僕の本当の幸せはあの人の隣にしかないことをずっと前から知っている。
でも、
もうしばらくあの人の身代わりになってもらうことにした。
プラトニック ゆぅ @noah_11
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