痛み、それは耐えがたい疼痛を意味することもあれば、深い心の傷を意味することもあります。
誰かの痛みを理解し、それを少しでも和らげてあげたい。そんな想いは、痛みを抱えている人が自分にとって大切な存在であるほど強くなります。
しかし、他者を痛みから救ってあげたい、という振る舞いは、多かれ少なかれ自己満足を含んでいるのかもしれません。大事なのは痛みそのものに向き合うのではなくて、痛みを抱える人と向き合うことなのでしょう。
痛みを理解できてしまう主人公が自分を取り戻していく物語。誰かの苦しみとは何か、そんな根元的なテーマに訴えかけてる重厚なストーリーです。