第143話 私とキスしなさい!

「……こちらになります」

「ご苦労様」


 俺は暴れる住民を羽交い締めにしながら、御目当ての品を納品した。

 お料理番組さながらの工程スキップだが、その裏側ではいつも大変な思いをしている人がいるんだなと俺は痛感する。

 現在進行形で鼻っ面に頭突きを受けていて痛い。

 早くこれを処理して欲しいのでミリアにそう促そうとしたところで、彼女が怪訝な表情をしていることに気づいた。


「どうしたんだ?」

「………………タケルは気付かないの? ギルドの外に出たのに加護ギフトが解除されていないわ」

「あっ、本当だ」


 確か、『オオイタ』の外に【狂化】の加護ギフトを受けた人が出てこないことから、効果範囲はギルドの中だけだと思っていた。

 でも、実際住民を外に連れてきたが、加護ギフトが解けている様子がない。

 思った以上に、敵の加護ギフトが強いみたいだ。


「どうするんだよ。このまま効果範囲外まで無理やり連れて行くか? 俺が結構大変だけど」

「いいえ、その必要はないわ」


 ミリアはそういうと、右手で空間を引き裂き、中から黒色の魔法石を取り出した。

 あれは確か……ゴウケンが俺に渡したものだ。


「【無効】の魔法石があるわ。これで、魔法効果を打ち消せる」

「そんなのあったな! やってくれミリア! ずっと抑えておくの辛い」


 これはマジだ。

 早くしないと俺の鼻が潰れてしまう。


 黒い魔法石から光が照射され、ゾンビ化した男性住民にあたる。

 頭のてっぺんから順に、つま先までなぞるようにだ。

 一通り加護ギフトの無力化が終わったはずだが、依然として住民は俺の手から逃れようと暴れていた。

 解除失敗とかあるのか?


「ミリア、もう一回やってくれ。なんかまだ加護ギフトが解けてないみたいだ」

「え、ええ。そうするわ。さっきよりもう少し強めにかける」


 そう言って、先ほどより強い光が彼を包む。

 眩しいので、目を瞑った。

 光が収束したのを感じたが、それでも俺の手の中で男性はもがいている。


「……ミリアさん? 加護ギフトの解除がうまくいきませんの……?」


 アイリが心配そうにそう聞く。

 ミリアの表情は肯定のそれだった。

 同時に、ミリアの額から汗が流れ始める。明らかに焦っていた。

 彼女は黒い魔法石を取り出した固有空間から、揺蕩う光球を召喚する。

 あれは……真実を導く光玉リア・ファル

 ミリアのもつ4つの宝具の内の1つ、能力の極大化を可能にする3日に一度しか最大出力で使用できない正真正銘奥の手だ。


「おいおい、いきなり宝具なんて出してどうするつもりだよ」

「決まってるじゃない。解除するのよ【狂化】の加護ギフトを。普通に使っていたのでは敵の加護ギフトは無効化できないことは分かった」


 ミリアはそう口にすると光球を右手で握り潰す。

 輝く粒子が彼女を包みこんだ。そして続ける。


「事態は急を要すわ。私の推察が正しければ、これくらいしないと敵の【狂化】は解除できない」

「そこまで強力な加護ギフトを使えるとなると……まさかだよな」

「ご想像の通りよ。相手の加護ギフトは極まっている。魔王因子を極めた状態……つまり、相手は【魔王】よ」


 俺たちは一瞬で凍りつく。

 つい先週【闇】の魔王を倒したばかりだというのに、新しい魔王が現れるだなんて……

 いや待て。悲観している場合じゃない。


 魔王クラスとなると、それは参考に足るデータのある相手ということになる。

 ミリアは言っていた……前回の【狂化】の魔王のタイムリミットは1週間だと。


 彼女が焦っている理由はそれはれか!

 敵は音を使って加護ギフトをかける。

 アイリのように触れれば能力が発動するとか、そんな生温いものではない。

 やろうと思えば、一瞬で『オオイタ』の住民全てを終わらせることが出来るはずだ。


 だから、俺が今押さえ込んでいるサンプルが持つ情報は重要なものとなる。

 この男性が加護ギフトに掛かった日時……その時間は、『オオイタ』全体のタイムリミットを知る手掛かりになるからだ。


 真実を導く光玉リア・ファルの力によって極大化された【無効】の魔法石の光が男性へと照射される。

 その光を浴びて、男性はすぐに動かなくなった。

 宝具に耐えられなかった小さな魔法石は、崩壊し崩れ去る。

 そして、少し時間を置いて彼は目を覚ました。


 状況が把握できていない男性。

 辺りを見渡し、ここがどこなのかを確認している。

 ミリアはすぐに男性に問う。


「あんた、今日は何日だか分かるかしら!?」

「な、なんだい君は……今日は、11月25日だよね?」


 今日は12月のはじめ……12月1日だ。

 1週間が期限だとするならば…………期限は明日。

 リリたちの応援が来るのは2日後だ。


「つまり……俺たち4人で」

「ええ、やるしかないわ。明日までに……」


 ミリアはゴクリと唾を飲み込み拳を握った。


「【狂化】の魔王を討伐しなければ……ここは手遅れよ」



 *


【狂化】を解除した男性を安全な近隣ギルドへと送迎した後、俺たちは『オオイタ』前で作戦会議を開始した。


「こちらが知りうる敵の情報をまとめるわよ。敵の使う加護ギフトは現状【狂化】、【音】まで分かっているわ。2つとも独立した加護ギフトであるから、他に加護ギフトを持っている可能性は限りなく低いと考えられるわよ」

「私の見立てだと、相手の身体能力はかなり高めで見ていいと思ってるよ。ステータスでいえばSSは硬いよね。たぶん、局所的に【狂化】をかけてパワーアップしてるんだと思う」

「敵はギルド中央に立てこもっていますわ! 周りは理性を失った『オオイタ』住民がバリケードを作っていますの」


 3人は各々そう口にする。

 俺は全く持っている情報がない。だって、出会い頭に意識飛ばされてるから。

 使えないやつだな。


 ミリアが言っている独立の加護ギフト、と言うのは固有加護とは別の話だ。

 例えば、ミリアは【時間】【召喚】【固有空間】の3つの加護ギフトを所持しているけど、実際のところ、【時間】【召喚】が主たる能力で、【固有空間】は【召喚】の加護ギフトに付随して備わったものだと言っていた。

 今回の敵の加護ギフトは既に分かっているもの2つとも主たる加護であるということだろう。メインの加護ギフトが2種類までが一般的とかは知らなかったけど。

 俺はこれまで出会ってきた人間たちの加護ギフトを思い出してみるが、たしかに3つ以上メインの加護ギフトを持っている人はいなかった。リリの【不思議の国の扉ワンダードア】は【召喚】の付属品だ。


「【音】の加護ギフトのせいでこっちの行動はかなり制限されるよな。討伐するためには絶対にアイリの【感覚操作】が必要になるってことだし」

「が、頑張りますわっ!」

「アイリちゃん、因みに手を離したら【感覚操作】は消えてしまうと言うことでいいのよね?」

「は、はい。その通りですわ。それと、私の手が触れていないとダメですの。だから、加護ギフトをかけられても右手と左手で1人ずつですの」


 つまり、この中で1人はアイリと行動ができないってことだ。

 俺たちは4人だが、動けるのは最大で3人。これは変えようがない事実だった。


「アイリちゃんの加護ギフトの話が出たし、こっちが使える手札もまとめておこうよ」

「それはいいな。もしかしたら活路が見出せるかもしれない」


 ミリアも首を縦に振る。

 敵の情報は不正確で少ないが、こちらの情報であれば正確なものが多く出せる。作戦を立てるなら、自分たちの情報も必要だ。


「私はこれまで通り、【鍛治】で地面から武器を出して攻撃できるよ。別に武器じゃなくてもいいんだけどね。それと【理想の彼氏】で特定の人の強化とか、居場所が分かるね」

「好きじゃなくていいのか?」

「うん。私の好きが強いほど、加護ギフトは強くなるけど、居場所をぼんやりと特定するくらいなら相手に『好き』って言うだけでもできちゃうね」

「何それもはや彼氏でもなんでもないじゃねえか……」

「もちろん、タケルくんのことは本気だよ?」

「そもそも俺は彼氏じゃない」

「タケルくんのいけず……」


 クレハはそっぽを向いてしまった。

 久しぶりにこの掛け合いをしたので、ちょっと楽しい。いや相手は真剣なんだから楽しんじゃダメだろ、この女たらしが。


「次は私がいくわ。知っての通り、宝具を複数所持してて、【召喚】を使って固有空間からそれらを呼び出せるわ。不可避の輝剣クラウ・ソラスは今日撃てて3回。明日になれば6回は撃てるはずよ。でも、不可侵の輝剣クラウ・ソラス・アナザーを併用するなら使用回数はもっと落ちると考えて欲しいわ。疾風迅雷の細剣ブリューナグ無限の炎鎖ダグザは消費が軽いから魔力の心配はいらないし、いつでも使えると考えてもらって構わないわ。真実を導く光玉リア・ファルはさっき使ったからもう使えない」

「そうだったな……ミリアの切り札だったのに」

「一応、これで『オオイタ』を丸ごと消滅させるって作戦は取れなくなったと考えて頂戴」

「する気のない作戦を口にしなくたっていい。他にも魔法石関連であるだろう?」

「ええ、最近手にした力だから忘れていたわ」


 俺は今朝彼女に伝えられて知っている。

 でもクレハたちはまだ知らないだろう。


「魔法石を固有空間に入れてる都合で、現状全属性魔法・・・・・を使えるわ。それと、【身体強化】の魔法石も内臓してるから、おそらく【狂化】との力比べでもなんとかやっていけるはずよ」

「それは心強いね。今のミリアには1体1で勝てないかもしれない」

「クレハに認められるなら光栄だわ。あんたの対人性能はちょっと洒落にならないもの」


 らしくない反応だ。

 クレハもそれを感じているようで、少しこそばゆそうだ。

 出会った頃から考えられないほどに、丸くなったなぁ。

 俺様最強キャラだったはずなのに。


 ミリアの説明が終わったところで、アイリは挙手して後を継いだ。


「わたくしは、【感覚操作】と【支配】が使えますわ! 手に触れた人の感覚を操作することができますの。聴覚を消せば、音に乗せた加護ギフトを無効化することが出来ますわ。【支配】は、自分の制御ができると考えてくださればよろしいかと思いますわ。自分の身体と、それに触れるほんの少しの領域を完全に支配下におけますの」


 制空圏かな?

 とにかく、アイリ効果範囲は狭いが、局所的に絶対的な力を発揮できるタイプらしい。


「俺を抱きしめて殺したあれは【支配】の能力ってことでいいの?」

「その通りですわ。先生の胴回りを空間に固定して、血流に耐えらなくなった血管を破裂させましたの」

「え、そんなエグいことしてたの……」


 あまりにショッキングすぎるネタバラシで俺は後退りをする。

 異世界に来てエグかったシーン、個人的ランキング上位に食い込むレベルだ。

 因みに一位は魔王の【闇】だ。身体がブクブクと膨れ上がるあの感覚は、もう2度と体験したくない。

「も、もちろん先生以外にはしませんわ!」とフォローを入れてくれたはいいものの、それがフォローなのか定かではなかった。


 最後に俺の番だ。


「俺は分かってる中だと、『素手以外の攻撃に対して防御力が高くなる能力』と『死んでも生き返る能力』を持ってるな。生き返る場所は、調整が効いて、直前に思い描いていた場所に戻る感じ」

「なるほど、その力で『トウキョウ』に戻ったのね。合点がいったわ」

「素手以外と言うけど、魔法への耐性はないんだよね?」

「そこなんだけど、微妙なところなんだよな。魔法に対しても少し硬くなってる気がするんだけど、そこまでじゃない。実際、敵の【狂化】は受けちゃってるわけだし」

「ちょっと疾風迅雷の細剣ブリューナグで試してみようかしら」


 ミリアはすぐに短小剣を取り出すと、風の刃を繰り出した。

 両手をクロスして身を守った。少しかすり傷がついた程度だった。


「おい! いきなり攻撃すんなって! 死んだらどうする……って死なないんだった」

「その通りよ。とりあえず、疾風迅雷の細剣ブリューナグ程度を防げる防御力を持っているということね。つまり【音】による衝撃波も防げると考えていいわ。音に乗った【狂化】は止められないけど」

「まあ、魔法防御の方は当てにしない方がいいな」


 ミリアに初めて会ったころ、疾風迅雷の細剣ブリューナグの刃を受けかけたことがあったけど、あの時はかすっただけで傷が付いていた。

 そう考えると、俺の世界の加護ギフトは知らない内に強化されているのかもしれない。

 もしくは……こちらの世界に適応した可能性もある。


 能力説明を終えようとしたところでクレハが俺が背負う布の入れ物を指差す。

 忘れていた。俺も宝具を持っていた。


「そういえば、宝具の話がまだだった。製作者がいるから、クレハに説明お願いしようかな」

「まかせて」


 俺は一本の刀をクレハに差し出す。柄頭が窪んだこと以外、平凡……いや洗練された刀だ。


「私が作った宝具……形成す水アマノムラクモだよ。この窪んだところに魔力を入れると自動的に魔法の刃が現れる仕組み。最大全長はどれくらいだった?」

「うーん。俺が確認したのだと50mと言ったところかな。形成す炎クサナギの魔力を初めて注入した時がそれくらいだった」

「らしいよ。私もそこら辺分からず作ってたから初めて知った。結構長いね」


 長いなんてレベルじゃないんだよなぁと心の中でツッコミを入れる。

 その長さはもはや刀じゃなくてレーザービームか何かだ。


「50m……幅はどれくらいかしら?」

「幅? まあ刀だからな。普通に撃ったら手を広げたくらいの太さだったと思う」


 俺はパーを作ってミリアに見せた。

 見せたところで、少し思い出した。


真実を導く光玉リア・ファルを併用した時は、かなり太めのレーザーが出たな。それこそ、『ウツノミヤ』で森を貫いた形成す炎クサナギの一撃くらいに」

「あの宝具を使えばどんな武器でも魔法石でも、そうなってしまうのは必然ね」


 ミリアは呆れたようにそういった。


「ねえ、ねえ。もう一本の宝具は正宗だよね?」

「あ、ああ。『ニッコウ』の人たちから許可をもらったらしくて、今は俺が持ってるんだよね」


 俺は鞘から正宗を抜いた。

 何回見てもこの感覚は慣れない。

 全身の毛穴が開くような、恐怖。

 斬られていないというのに、俺の心はすでに斬られていた。

 他の3人も同様の気持ちを抱いているようで、あまりいい表情はしていなかった。


「へえ……すごいね。話には聞いてたけど、これが魔力を使わずに打たれたとは思えないよ」

「作り手の目から見ても異常なのか?」

「異常も異常だよ。刃を見ただけで足が竦むような刀、並の刀工じゃ作れない」

「それで、その刀はどんな能力なのかしら? あと、早くそれを納めなさい」

「あ、ごめん。能力はシンプルだぞ。ただ、切れ味がいい。それだけだ。具体的には、俺の防御力でも、一切の抵抗なく切れてしまうくらいに」


 実際、その力のおかげで俺は今『オオイタ』まで戻ってこれた。

 心臓を突くのはかなり痛いので、転移のときできればアイリに殺してもらいたいけど贅沢は言ってられない。

 全員の能力を把握したところでミリアは立ち上がり、拳を握った。


「とにかく、これで手札は揃ったわ。結論からいえば、これだけの戦力があれば、住民を殺さず、敵だけを倒せるはず」


 そして、俺を指差して続けた。


「そのためには形成す水アマノムラクモが必要だわ。攻撃範囲の狭さ、それでいて射程は長い。これ程、この戦いに向いている武器はないもの」


 そうか!攻撃範囲が広い方が多人数を相手にするのには強力だが、今回のように傷付けてはいけない……守るべき対象がいる場合それが仇になる。

 上手く使えば敵だけを貫く矛になりうる可能性があるってことか。

 しかし、ある疑問点が浮かんでくる。


「でもミリア、敵の周りは『オオイタ』住民で覆われているんだろう? 形成す水アマノムラクモなら確かに被害は最小限に抑えられるはずだが、それでも10人は死ぬぞ」

「問題ないわ。クレハ、あんたは【鍛治】の加護ギフトで武器以外も錬成できると言ったわよね?」

「うん。形がわかればなんでもいけるよ。ほら、大蛇と戦った時は自衛用に鉄格子作ったし」

「つまり、殺傷能力のないものでもクレハは作れるということよ。トライアングルってあるじゃない? あの形の建造物を作れば、住民を一気に退けられるはずよ」

「こんな感じだよね?」


 クレハは注文通り、三角形で穴が空いた鉄の塊を生み出した。

 高さはおよそ3m。

 ギルドはもう少し背が高かったと思うから本番ではこれより大きいものを作ればいいってことだ。


「ミリアさん? でもいいですの? それだとミリアさんはお留守番ですわ。わたくしが守れるのは2人までですの」

「もちろん、そのつもりだわ。でも、私が活躍しないとは言っていないわ。たまには【召喚】所持者としての威厳を見せつけてあげようじゃないって話よ」


 ミリアが自身ありげに胸を張る。

 確かミリアの【召喚】は手や剣で引き裂いた空間から固有空間にアクセスして行うタイプだ。


「1回目の内部探索で得たのは情報だけじゃないわ。私は逃げながら、固有空間を密かに仕込んでいたのよ!!!! これで、あんた達をギルド近くに召喚することができるわ!」

「お、おお! ミリアやるな!! 今日だけはミリア様って呼んでもいい!!」

「今日だけって何よ! 今日だけって! 四六時中、このミリア様を崇めなさい!」


 リリのように、扉を使って召喚兼、転移ができないため使い勝手が悪いことを嘆いていた。

 実は別の使い道があって人の転移を行えるってことだろう!

 ミリアの奴め。奥の手をもう一個用意してやがった。


「私の【召喚】はリリのように自由度はないけれど、ちょっとした距離なら、離れた場所に召喚の出口を用意することが可能なの」

「その自由度っていうのはミリア自身を転移させられないということか?」

「その通りよ。私自身の転移は不可能だわ。でも私以外の……私の所有物であれば離れたところに召喚が可能なのよ」

「所有物……? つまり俺たちはミリアの所有物にならないといけないってことか?」

「そういうことになるわ。ありがたくミリア様の支配下におかれなさい!」


 いかにもミリアに合った女王様的能力だな……

 そういえば打倒『トウキョウ』を掲げていたときも、「あんたが欲しい!」と言って仲間を増やそうとしていたっけ。

 あの頃から、ミリアのこの能力の片鱗は現れていたということか。


 そしてミリアは立ち上がり、クルリと半回転してこちらを向く。

 心なしか、彼女の頬は赤くなっていた。


「手始めに、あんた達! ………………わ、私とキスしなさい!」


 俺たちの思考は一旦停止した。

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