第82話 美少女を腹パンしてしまうという小説削除案件発生美少女を腹パンしてしまうという小説削除案件発生
倒れたミリアを介抱するためにリリの魔法で『オオイタ』まで飛んだ後、俺たちは一旦借りていた宿まで移動した。
ミリアの使用する部屋に俺を含め5人が入り、少々窮屈さを感じるがそんな文句は言ってられない。
ミリアをベットに寝かせた後、クレハは彼女の懐から治癒の魔法石を取り出し、それを使用した。
緑色の光が照射され、ミリアの体に触れる。
光が触れると体の表面についた小さな擦り傷がみるみると回復して行くが、ミリアは一向に意識を取り戻す様子がない。
「どうして……どうしてミリアは治らないの!」
クレハは瞳に涙を溜め、そう言う。
彼女につられてアイリも悲しそうに俯き、後ろを向いた。
クレハはその後も、ミリアに緑色の魔力を照射し続けミリアの意識を戻そうと尽力するが、その行動をリリが慌てた様子で止める。
「おっぱいの人、ミリアの傷はもう治ってるの! もう魔法をかけちゃダメ!!」
彼女曰く、治癒は間違いなく成功している。
だから必要以上に魔法をかけ続けてはいけないのだろう。
「リリ、ミリアは今どんな状態か分かる?」
「…………かなり危ない状態なの。ミリアはさっきの戦いで、魔力器官を使いすぎたの」
「あんな大技を撃ってたからな…………リリは大丈夫なのか?」
「リリは大丈夫なの。リリは宝具の魔力を直接使って魔法を使ってるから。でもミリアは違う。ミリアはあの一撃を自分の魔力器官の魔力を使って撃ってたの」
リリは深刻そうにそう答える。
その後も詳しく状況を説明してもらった感じだと、ミリアは空気中に溜め込んだ魔力を自分の魔力器官を通して
明らかに人間1人が抱えきれない量の魔力を魔力器官に流し込んだ結果、今の彼女は魔力が飽和した状態にあり、適当に宝具をぶっ放すなどして魔力を消費しないといけないのだが、目を覚まさないので非常に危険な状態だという。
そして、下手をすればもう
その話を聞き、クレハは突然ミリア胸ぐらを掴み持ち上げると彼女の頬に往復ビンタし始める。
流石に奇行すぎるので俺はそれを止める。
「待て待て待て! 怪我人に何してんだよ!?」
「ビンタ。それと、ミリアは怪我人じゃないよ。さっき治ったってリリちゃんも言ってたじゃない。だから刺激を加えて起こしてあげるの!」
「したいことは分かったけど、他にやり方あるだろ! もっと穏便な方法が……」
「おにーちゃん、今の方法は間違ってないはずなの! リリが見た異世界のアニメでもよくそんなシーンがあったの!」
「こらっ、リアルとアニメを一緒にするんじゃありません!」
「………………んっ…………」
「あれ!? ミリアさん起きかけてる!? おい寝ろ! この流れで目を覚ましかけると絶対ロクなことがないから! 寝てる演技でもいいから!」
なんてタイミングが悪いやつなんだ!
頼むから俺が穏便な方法を考えつくまで寝ててくれ……
俺の祈りが届いたのか、ミリアは一瞬戻りかけた意識を再び飛ばす。
ホッとしたのも束の間、ミリアから手を離したクレハとリリが俺に迫ってくる。
「ちょっとタケルくん! あと少しでミリア起きたのになんで邪魔するの!!?」
「その通りなの! このひとでなし!」
「そりゃあ止めるだろ!ミリアを助けるために怪我させてどうするんだ。 それとリリは言い方キツくない!?」
「タケルくんちゃんと分かってる!? 魔法で外側の怪我は治るけど、魔力器官の暴走は治らないんだよ!?」
「あっ……そう言われてみれば……」
「だからちょっと強引でもミリアを起こせれば、オッケーなの! おにーちゃんは変なところで頭が回らないの」
うまく丸め込まれてしまった感もあるが、彼女たちの言っていることは正しい。
魔法で治せる傷なんかよりも、一生後遺症が残ってしまいそうな魔力器官の暴走を止めることの方が優先事項だ。
俺が納得したのを見計らい、クレハはミリアの脇を持つようにして立たせる。
ミリアは意識が飛んでることもあって、首がすわってない状態だ。
「ささ、タケルくん! 1発かましちゃって!」
「かますって……何を?」
「王子様がお姫様の眠りを覚ますためにすることなんて世の中みんな知ってるの」
「おいおいおい……まさかそれって」
「「腹パンだよ(なの)!!!!」」
「絶対違いますよねえええええ!?」
そうして俺はその場の雰囲気に流され、低姿勢でミリアの懐へ潜り込んだ。
そして拳を固く握り、徐々に力を加えていく。
スクリューのかかった俺の右腕は一切の迷いなく彼女の腹部へと迫った。
そして、彼女の鳩尾へ、本気ではないが岩でも砕きそうなほどの一撃を見舞いする。
拳が当たった瞬間、その風圧でクレハの後ろのカーテンが激しく揺れ、そして…………眠り姫は大きく目を開き、口から血の混ざった反吐を吐く。
よし! 意識が戻った! と無邪気に喜んでいた俺だが、意識を取り戻したミリア様は自分にこんな酷い仕打ちをしたのが誰なのかを(表面的にだが)一瞬で理解し、倒すべき敵(俺)を厳しく睨む。
そして、何もなかったはずの空間に手を突っ込むと黄金に輝く宝具を手に取り…………
「何すんのよ! このクソタケル!!!!」
「ですよねー!!!!!」
俺の
この後、ミリアが目を覚ましたのは
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