第21話 態度の豹変
「何よこれ……」
アイリのステータスを見たミリアが最初に発した言葉はこれだった。
驚愕、あまりの驚愕。【世界の加護】に隠されたアイリのもう一つの加護は一体なんだったと言うんだ。
こちらの気持ちとしては、箱がありそれが『びっくり箱』である、ところまで分かっている状態だった。
その何か来ると分かった状態でさえ驚きを隠せないものというのはどういうことなんだろう?
すぐさまステータスを書き出してもらう。
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フジミヤアイリ
筋力:E
魔力:A
体力:D
技量:C
経験:D
加護:【
【
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なんだこの加護は?すごく強そうなのは分かるんだけど、ただそれだけだ。自分のことだからひいき目に見てしまうのかもしれないけど、俺の【世界の加護】の方が強そうじゃないか?
ゴウケンがあそこまで必死になるのだから、俺はてっきり『強大すぎる加護を持ったアイリが仕方なく捨てられた』とかそんなオチだと思っていた。拍子抜け、だろう。
しかし、それでもミリア、クレハそれにアイリ自身も驚愕し、今では恐怖を帯びた表情で強張っているのには、俺にはわからないなんかしらの事情があるんだと思う。
「ミリアはアイリの加護について知ってるのか?」
「……知っているわ。…………知らないわけがない」
「クレハも?」
「う、うん。それよりタケルくん下がった方がいいよ。何されるか分からないから」
「どういう事だよ……アイリも自分の加護について知って……」
「タケル先生、来ちゃダメですわ!!」
アイリに歩み寄ろうとした俺を、クレハがそして何よりアイリ自身が拒絶した。
何がどうなってるんだ!みんな急に態度が変わりすぎだ。
ミリアなんてさっきまで「アイリちゃん、きゃわわ! アイリちゃん尊い!」とか言ってたはずなのに。
クレハだって最初は「この幼女……だれ?」とか言って今にも(俺が)殺されそうな状況だったけど、その後はわりかし友好的な態度を取っていたじゃないか!
「なあアイリ、どうしちゃったんだよ? 急に突き放されても困る」
「困るのは私ですわ! 大切な人……タケル先生が死ぬのを、私は見たくないですの!!」
そう言って、アイリは全力でその場から逃げ出した。
その背中を追いかけようとしたところ、俺の手をクレハに握られ止められる。
「クレハ、離して。アイリを追いかけられない」
「それはできないよ。四肢をもいででもタケルくんを先には行かせない」
「なんでだよ! おかしいだろ! あんな子供一人を寄ってたかって! 説明しろ!!」
「それは私から説明するわ。二人とも抑えて」
激昂する俺にを止めるクレハの向ける眼差しは彼女の覚悟を表していた。手にはナイフが握られている。本気で四肢をもいででも止めるつもりでいる。
ミリアは何度か出かかった言葉を飲み込み、それでも言い出そうという努力が見える。
彼女の額から一筋の汗が流れ、話が始まった。
「まず始めに、世界は一度滅びかけた」
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