高校生5人はエバンの部屋でSNSの相談。みんなでインパクトのある写真を選んだ。更にオレたちが作ったメモをパソコンで上手く見られるように、データを整備。劉は手慣れたもんだった。


「なーエバン、変じゃね?」


オレは、本来なら、今夜調べようと思っていたことを聞いてみようと思った。

「何が?」

「ソイル国とイーストソイル国ってさー、仲悪い? 

 こっち来た時さー、まず変って思ったのが軍事政権。

 戦争とか内乱って歴史はねーじゃん。

 それに不思議だなのはさ、軍服の色。あの、すっげ―綺麗なライトブルー。

 見つけてほしーわけ? 

 それにさ、銃。大きすぎ。

 ソイル国とイーストソイル国って、ホントは戦争あったんじゃねーの?」

エバンと劉が顔を見合わせて黙り込む。

「あ、悪い。勘ぐり過ぎ? 気にしないで」

一瞬妙になった空気を振り払うように二人にお菓子を勧めるオレ。

と、エバンが徐に口を開いた。

「ソイル国とイーストソイル国の間には、文字にしてはいけない不幸な歴史がある。

 高橋が言う通り。この国が軍事政権なのは、黒い歴史の名残り。

 遠くから見つけられるライトブルーソルジャーも大袈裟な銃も、

 黒い歴史の名残り。

 ここにいる、近づくな、近づいたら危ないぞって警告の意味がある」

それから劉が補足した。

「文字にしないのは、歴史の隠ぺいじゃなくてさ、真実が分からないから。

 恨みの連鎖を起さないようにって。

 文字にするのはタブーだけど、語り継がれててさ。

 エバン、話してもいーんじゃね?」

「なになに。気になるじゃん」

岳ちゃんがにじり寄ってくる。

「国にもあるだな、黒歴史」

黒歴史なんてなさそうな師匠が写真を整理する手を止めた。

そしてオレたち3人は、エバンと劉の話に耳を傾けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る