③
高校生5人はエバンの部屋でSNSの相談。みんなでインパクトのある写真を選んだ。更にオレたちが作ったメモをパソコンで上手く見られるように、データを整備。劉は手慣れたもんだった。
「なーエバン、変じゃね?」
オレは、本来なら、今夜調べようと思っていたことを聞いてみようと思った。
「何が?」
「ソイル国とイーストソイル国ってさー、仲悪い?
こっち来た時さー、まず変って思ったのが軍事政権。
戦争とか内乱って歴史はねーじゃん。
それに不思議だなのはさ、軍服の色。あの、すっげ―綺麗なライトブルー。
見つけてほしーわけ?
それにさ、銃。大きすぎ。
ソイル国とイーストソイル国って、ホントは戦争あったんじゃねーの?」
エバンと劉が顔を見合わせて黙り込む。
「あ、悪い。勘ぐり過ぎ? 気にしないで」
一瞬妙になった空気を振り払うように二人にお菓子を勧めるオレ。
と、エバンが徐に口を開いた。
「ソイル国とイーストソイル国の間には、文字にしてはいけない不幸な歴史がある。
高橋が言う通り。この国が軍事政権なのは、黒い歴史の名残り。
遠くから見つけられるライトブルーソルジャーも大袈裟な銃も、
黒い歴史の名残り。
ここにいる、近づくな、近づいたら危ないぞって警告の意味がある」
それから劉が補足した。
「文字にしないのは、歴史の隠ぺいじゃなくてさ、真実が分からないから。
恨みの連鎖を起さないようにって。
文字にするのはタブーだけど、語り継がれててさ。
エバン、話してもいーんじゃね?」
「なになに。気になるじゃん」
岳ちゃんがにじり寄ってくる。
「国にもあるだな、黒歴史」
黒歴史なんてなさそうな師匠が写真を整理する手を止めた。
そしてオレたち3人は、エバンと劉の話に耳を傾けた。
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