③
まずは、メンバーに挨拶でもすっか。
オレは、一人一人訪ね歩いた。だってさ、オレの友達って、基本サッカー部。
その次バスケ部とか野球部、バレー部テニス部陸上部ってかんじ。
剣道柔道空手、卓球部には知り合いいねーかも。
科学部とか未知。つーか、登山部なんて存在すら知らんかった。
LINEでふるふるして、一人一人登録すっか。で、ソイルってグループに設定しよっと。もうあるかと思ってたら、なかったんだよ。LINEのグループ。
登山部の剣山は破顔してオレと握手してくれた。剣山岳。周りから「岳ちゃん」って呼ばれてた。日焼けした顔の中に人の良さそうなタレ目。
「知ってるよ。『女がほしい』高橋君だろ?
さっき、このクラスまで聞こえたよ。 ミスターS校の」
そうそう、オレは学祭でミスターS校に輝き、学食の食券100食分をゲットした。票集めは簡単。投票所近くの中庭で、野外ライブのときステージから、ラップでお願いした。中庭は来訪者が必ず足を止める場所。投票所は目と鼻の先。投票期間は学園祭2日間。その間の野外ライブは計6回。
めでたくミスターS校になった後、食券を1食分350円で売りさばいて35000円。スタジオ練習代が結構かかったから助かった。別にお小遣いは十分すぎるほど貰えるんだけどさ。
だってさー、オレ、弁当だし。食券使うのは年に数回。
で、登山部の岳ちゃんは、写真が撮りたいんだってさ。
「アフリカには、南北にグレートリフトバレーがあるじゃん?
アフリカの端から真ん中までガーっと走ってるんだぜ。
幅が何十キロとあってさ、長さなんて七〇〇〇キロ。
ソイルの国って小さいのに、グレートリフトバレーが通ってるんだよ!
しかも、すっげー崖があって」
(注:グレートリフトバレーは本当に存在します)
あー。コイツもナンだ。人種的には物理準備室の鉄分多めと一緒のタイプだよな。
山オタク。
「すっげーよく知ってっじゃん?」
「姉妹校になったからさ、その学校の子、
FaceBookで探して教えてもらってたんだ」
説明する岳ちゃんの目は生き生き。
「へー」
ちょっと引き気味のオレ。
「英語が通じるとこでよかったよな。昔イギリスの植民地だったって。
公用語は英語とソイル語、半々くらいってさ」
「あ、なんも考えてなかった」
「そ? だいじょーぶ。なんとかなるって」
岳ちゃんは大きな口で笑いながら、オレの肩をばんばんと叩く。
あ、こいつ、大らかってヤツだ。この辺は気が合うかも。
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