第203話 『パシフィック2.3.1.』 オネゲル

 作曲家のなかで、鉄道マニアとしてよく知られるのは、ドヴォルザーク先生でしょう。


 機関車や客車や貨車などの番号から、時刻表まで暗記していたらしい。


 アメリカに赴任していたときも、機関車を見るのは、随分、楽しみにしていたような、そうしたお話も、どこかで読んだような。


 オネゲル先生(1892~1955)も、『機関車が好き!』 と、おっしゃっていたらしいですが、実際に音楽にまでしてしまたのだ!


 『交響的断章第1番』とされている作品。(『第2番』は、『ラグビー』。)


 この形式の機関車は、前輪2、動輪3、後輪1という配置になっている機関車で、アメリカ横断鉄道の急行列車用でもあったらしいことから、『パシフィック』と言われているようですが、特定の機関車ではなくて、そういう形式の機関車だとか。


 なので、オネゲル先生が、アメリカまで見に行ったわけではないようです。


 まあ、とにかく、出だしがまずすごい!


 弦楽器で、巨大な鉄の塊が動き始める金属音が、ばっちり表現されている。


 なかなか動かない、この、重い、重い、しかし堂々たる足取りは、蒸気機関車の持ち味だ!


 そのあと、動き始めたら、今度は、もう、止まらない。


 猛然と、あらゆるものを押しのけて進む!(あ、ぶつかったら、事故だけど・・・)


 その雄姿が浮かび上がるのである!!


 とはいえ、オネゲル先生ご自身は、『描写音楽じゃないよ、』とも、お述べだったらしいとかですが、まあ、でも、機関車を思い浮かべることは事実。


 『機関車に触発された管弦楽曲』、といえば、まあ、おおかた間違いはないかな。


 やましんは、クラシック音楽マニアかもしれないけど、鉄道マニアではないです。


 ただ、子供のころは、まだ、長距離列車のメインだった蒸気機関車に乗っておりました。(電化されてない区間があったらしい・・・)


 首都圏には、まだ、戦時中みたいな、濃い茶色の『鋲だらけ電車』が走っていたように思いますし、一方、新型超特急『こだま号』が、まもなく走り始めました。


 東京駅まで、見に行った覚えあり。


 新幹線は、もう、ちょと、あと。


 そこに、蒸気機関車も、しっかりと、結構、あちこちに、走っておりましたのです。


 この蒸気機関車は、窓を開けたたまま、トンネルに入ったら、さあ大変。


 なので、前の方から情報が走るのです。


「トンネルだああ!!!」


 ばちゃばちゃばちゃ!


 と、みんなが窓を閉めにかかりますが、一部間に合わないところもある!


 ものすごい真っ黒な煙が、客車内にうずを巻きます。


 親たちは、こどもたちのお顔を、拭きにかかります。


 本人も、煤でお顔がまだらに黒くなっていたりするのです。


 お弁当など、もし開いていたら、これもまた、やっかいだあ。


 まあ、汽車の旅というものは、なかなか、大変だったのです。


       🚂     🚂     🚂


 やましんが聞いているのは、オネゲル先生が指揮した、1930年にパリで録音されたもの。


 そりゃまあ、古いけど、この時代になると、もう、けっこう、ちゃんと、聞ける音です。


 作曲者が指揮したり、ピアノ弾いたりしている録音は、やはり貴重。


 ただし、作曲家が、必ずしも名指揮者ではないし、ピアノの名人とは限らないですが。 


 オネゲル先生は、なかなか、名演奏。


 カッコいい!

 


 

  ***** うき 🚃  🚂 🚃 🚂  🚃  🚂 うき ***** 


  







 



 



 

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