第103話 『ファウストのごうばつ』 ベルリオーズ
ベルリオーズ先生(1803~1869)と言う方は、お医者様のお子様でしたし、医学部に進学もしていたので、頑張ってそのまま医師の道を選んだら、もっと安泰な人生になったんじゃないかな、とも思います。
でも、歴史の事実はそうじゃなくて、当時はまだ職業としては、はっきり地位が 確立していた訳でもなさそうな、作曲家さんを選んだ訳です。
大分後の、シベリウス先生(1865~1957)も、似たようなコースをたどりました。(確か法科ですが・・)
余計なことですが、ベルリ先生が生まれた頃は、まだベートーヴェン先生もシューベルト先生も生きており、シベリウス先生が生まれた時には、まだベルリオーズ先生が生きていて、やましんが生まれたときには、まだシベリウス先生がご存命中でしたから、まあ、それほど大昔の方という訳でもないです。
いっぽう、先に登場のカール・ニルセン先生は、資産を持たない労働者階級の大家族で、小さいころから仕事として楽器を演奏して、必死に働いて、家計を助けなければならなかったようです。
人間、どこに産まれるかは、選択の余地がありませんものね。
なので、消えてしまった天才は、たくさんいることでしょう。
彼らの歌ったすばらしいお歌は、そのまま天に上ったのでしょうね。
それでも、ベルリ先生が作曲家になってくださったおかげで、こうした、すっごい遺産を享受出来てるわけですし、後世に与えた影響はものすごいものだと思いますです。はい。
もちろん、この曲のテキストは、ゲーテ大先生の『ファウスト』によるわけですが、最初のきっかけとなった『ファウストからの8つの情景』を書いたとき、ベルリ先生は、ご存命であったゲーテ大先生に楽譜をお送りしたんだそうです。
でも、まったくご返事はなかったそうであります。
こうしたお話しは、シューベルトさんでも聞きますが、ゲーテ大先生のお立場からすると、そうした類のお手紙は、常に大量に送られてくる状況だったらしく、とてもお忙しいゲーテ先生には、そのお相手ができるような状況はなかった、と、いうわけです。どれが後世の傑作となるのか、音楽家でもないゲーテ先生に、一目で見破れと言うのは無理でしょうし。
ときに、この作品、最初がハンガリーの平原から始まるのですが、これは実に不思議でして、原作にはないでしょうし、あきらかに新たな創作ですが、CDの解説を見ますと、この作品中最大の有名曲であるところの『ハンガリー行進曲』を、あとから追加するために、ベルリ先生が作曲後に舞台を改訂し直したのだそうであります。
でも、これはおかげさまで大変効果的で、開始そうそう、ファウスト博士がハンガリーの平原で考えに沈んでいるなか、その断片がまずは現れ、やがて農夫さんたちの楽しい踊りの後(これ、なかなかすごい音楽です)、高らかにこの行進曲が鳴り響くのであります。
いやまあ、格好いいのなんのって、一気に気分が盛り上がりますよね。
ベルリ先生は、ベートーヴェン大先生から、そう間がないころに、新しい時代の大管弦楽による壮大な音楽を作り出したのですが、聞くところによると、意外と保守的なところもあって、開発されたばかりの新しい『べーム式フルート』(テオバルト・ベーム様が開発したフルートのキーのシステムで、皆さまが現在、普通に目にされるフルートの多くは、このベーム式であります。サクソフォンにも応用されています。)がお嫌いで、オケの中に発見すると、『そいつをどけろ!』とお怒りになったとか、であります。どして?
『兵士たちの合唱と学生たちの歌』とか、『妖精の踊り』とか、ほかにも有名ナンバーが多く含まれておりますが、この完成版の初演は、1846年12月6日、パリ。
べー先生の『第9交響曲』も、初演時のコストがかかり過ぎて儲けがなかったため、べー先生が『おまえら、ねこばばしてるんだろう!!』と、打ち上げで怒りまくり、周囲の人を怒鳴り散らしたと伝わりますが(第9の歌詞とは大分違っていますが・・・)、こちらも、やはり出演者が多すぎて、べー先生の前例を知ってかどうかはわかりませんが、チケット料金は通常の倍額にしていたが、大赤字だったそうであります。(クラシック名曲初演&初録音辞典 平林直哉さま著)
もちろん、現代でも、こうした大曲の演奏や録音は、お金もなかなか大変でありましょう。
合唱にアマチュアを使えば、聴衆の大動員が可能になり、多少は安くすみますが、思うような演奏はなかなか難しくなり、また準備時間が大幅にかかります。(上手なところもありますが・・・)
音大の学生さんあたりを総動員するのが、まあ、一番早くて良い、ということではありましょうか・・・・・
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