第98話 『ピアノ協奏曲』 アッテベリ
この曲につきましては、『レアオン音楽詩編集』のなかで、『クリスチャン・シンディングのピアノ協奏曲』さんが、相当この曲を競争相手として意識しているように書いていました。
もちろん、やましんも、この曲は大好きです。
生涯の多くの部分を、公務員作曲家として過ごした、アッテベリ(アッテルベリ)先生(1887~1974)ですが(スウェーデンの特許庁に御勤めでした)、作品の評価でもって、すぐに命に係わる状況になるわけでもないこともあってか、時代遅れとか言われようが、思い切り自分の好きなように作曲できたということも言われますし、まあ、それはそうだったのでしょうけれど、この方の作品は、とにかく、切れば血潮が飛び散るような感じがする、強烈な個性を持っており、基本的には、やはり天才の部類の方だろうと、思います。はい。
天才作曲家が、公務員もやっていた、と考えた方がいいんじゃないかと思います。
アッテベリ先生の、もっとも有名なお話は、『交響曲第6番』についての逸話であります。
この曲は、俗に『ドル交響曲』なんて言われますが、これは、1927年のシューベルト没後100年記念コンクール(アメリカのコロンビアレコードが企画したコンクールで、もともとは、シューベルトさまの『未完成交響曲』を、完成させよう!コンクールでしたが、評判が悪くて(たぶん、不遜だとか、そんな感じじゃないでしょうか・・・普通の作曲コンクールに直されたという、訳ありコンクール。)に、急遽応募し、世界中の500人ほどの競争相手をなぎ倒して、なんとびっくり、第一位を獲得してしまた、という作品。
その賞金で、(当時、1万ドルとか・・・)フォードの自動車を購入したんだとか。
そこで、『ドル交響曲』と、言われたらしいです。
褒められたんだか、皮肉られたんだか、ちょっとよくわかりませんけれど。
しかし、この交響曲は、大指揮者トスカニーニさんにも目出度く気に入られて、その録音もあります。
時に、本題の『ピアノ協奏曲』ですが、この曲の第1楽章が初演されたのは、1935年の1月。全曲の初演は、1936年1月12日で、アッテベリさん指揮で、大成功したらしいです。
冒頭から、なかなかドカンと来る音楽で、大変に個性的であります。
どこか、誰かに似てる~~、とかという音楽ではない、独自のもので、これがアッテベリさんが天才である所以であります。
一番の聞き所は、やましんが思うには、『第2楽章』であります。
いささかエスニックな雰囲気の音楽ですが、その中間部分は、「いやあ、これはまた、おったまげたあ~~~~!!」と感動する、大変な傑作。
遥かなお空の上を、ぐわわぁあんん~~と、飛んでいる感じの音楽であります。
煽情的で、どこか素人っぽくもありながら、といって、これ以上、プロが手を加えたら、きっと全然面白くなくなるに違いないという、ぎりぎりの、刃物のエッジの上を歩くような、とってもきわどい音楽。
感想は、まあ、人にもよるでしょうけれども、やましんは、大好きでありまして、最大限の賞賛を送ります。
『第3楽章』は、もっときわどい、はっきり言って、少し恥ずかしくなるような、まったく虚飾のない、衣装を一切つけないで踊るような面持の、もっともっと危ない音楽なのですが、これが、アッテベリ先生の真骨頂なのです。
なかなか、スリルと感動に満ちたすごい作品。
なお、『レアオン』に書いたCDの追加情報・・・、CPOレーベルからも、CDが出ています。(CPO 999 732-2)
録音は西暦2000年のものですが、音、演奏共に、大変、優れています。
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