第71話 『ヴァイオリン協奏曲』 エリング

 カタリヌス・エリングさま(1858~1942)は、ノルウェーの作曲家。


 また、ノルウェー民族音楽の収集や出版で高名な方ということ。


 日本では、あまりお名前を聞く機会はないような気がします。


 『交響曲イ長調』(1890)、『歌劇コサック』(1891~94)、『劇音楽十二夜』(1889)、『弦楽四重奏曲二長調』(1897)、『管弦楽のため

の主題と変奏』(1897)・・・・・


 どれも、聞いたことがありません。(話にならないじゃん!)


 そうして、この『ヴァイオリン協奏曲』は、1918年の出版らしいです。


 その2年前には、『フルート協奏曲』も出ているらしい。これはぜひお目にかかりたいものです。


 さて、この曲、全体で、20分強くらいなので、『大曲』というわけでもないですが、大体、第1楽章が長大になる傾向が強いロマン派協奏曲としては、珍しいくらいに3楽章間の均衡がとれています。


 どっか~んと始まる第1楽章ですが、かなり、民族的というよりは、ラプソデイックな雰囲気が強いのが面白いところ。


 全体的に、カルウォビッチさまのヴァイオリン協奏曲を彷彿とさせる感じがあります。(「レアオン詩篇集『雪山に散る』参照」。・・・宣伝です。)


 第1楽章は、7分程度ですが、後半に入ると、なんともいい雰囲気になります。


 第2楽章は、なかなか美しいお歌です。聞きどころ。


 第3楽章は、さらにラプソディック風が強くなりますが、派手という訳でもありません。


 だいたいにおいて、中庸を旨とする感じで、なにかが突出している、と言う感じではないので、すぐ人気作!とは行かないでしょうけれど、なかなか良いお味を、じわっとにじませる佳作。


 シベ先生とニルセン先生のヴァイオリン協奏曲が寡占状態のような北欧地域ですが、隣国デンマークなどでも、結構大量のヴァイオリン協奏曲が作られておりまして、この分野も、おそらくは、けっして、捨て置けない北欧地域であります。



* 参考CD: 『ノルウェーNKF NKFCD50021-2』

 ヴァイオリンは北欧随一の名手、アルヴェ・テレフセン様。指揮が、なんと、若き日の、マリス・ヤンソンス様。現在は入手しにくいかもしれないですが。


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