第69話 『音楽の冗談 K.522』 モーツアルト
むかし、『ホフナング音楽祭』という、『冗談音楽』の祭典がありました。
行ったことはありませんけど、録音なら今でも聞くことができます。
非常に高度な『冗談音楽』を聴くことが可能です。
でも、つまり、相当な技術を持った強者でないと、面白い『冗談音楽』は書けないと見ました。
モー先生がこの曲をなぜ書いたのかは、いまのところ、まだ最終的には謎のようですが、一般的には、へたくそな音楽家や、いばりくさった、実はできの悪い音楽家などを揶揄して、ばっさばっさと切り捨てたんじゃないかと言われたりします。
ここには、優秀な職人としての、モーツァルト先生の姿も見えるようです。
もしかしたら、アマチュアあたりから頼まれて書いた『冗談音楽』だったのかもしれません。
教科書だったのかも?
しかし、やましんには、こいつを頭からアナリーゼして、『ここがこのようにおかしい』と、逐次指摘するような能力はありません。
たしかに、おかしな響きがするし、なんか不自然な流れが目だったりするのは、誰しも感じるでしょう。平行5度とかいう和声法上の禁則を使っていたりもする。
まあ、そのくらいは、知識としてなら、まったく知らないわけでもないです。
でも、これはまるで、周囲の人が、フランス語やドイツ語で楽しく会話して大笑いしている中で、ひとりだけ、お追従笑いしている自分みたいな気もします。
しかし!
そうじゃなくて、この曲の楽しみ方は、他にもあるのです。
つまり、音楽として、楽しんじゃおう! という方法です。
この曲、なんだかんだといっても、傑作なのです。
だいたい、こんな素敵なメロディーを、書けますか?
第2楽章なんかも、傑作です。
まあ、真面目な顔して聞いてたら、多分、思わず吹き出しちゃいますが・・・
しかし、なんといっても、終楽章が最高傑作。
なんだか、リムスキ先生(リムスキー・コルサコフさま)の『スペイン奇想曲』の最終場面みたいな(叱られるかも・・・)立体的な転調もする。
ついでに、よじれて落っこちそうにもなるけれど。
むかし、もう40年近く前のNHK・FMで放送されたモーツアルトさんの『特番』で聞いた記憶によると、モー先生の猛烈なファンの方の中にも、「この曲だけは絶対に、嫌!」という方もいらっしゃるとか。
ぼくの知人でも、「冗談は嫌い」、という方も、いらっしゃいました。
なるほど。わかる気もします。
それは、『一部を除いて(つまり、仕事以外は)』、大体冗談だけで生きてきたやましんには、痛烈な批判でもありましたのです。
冗談だと思ってもらえなかったことも、多々ありましたけども。
一方、『レアオン』かどこかでも書かせていただきましたが、モー先生には、非常にきわどい内容の声楽作品が、多数あります。
お友達と遊ぶための曲だったのではないか、とも言われますが。
かつてこれらは、長く社会から封印されていたようです。
でも、美しい楽しい旋律を持っています。
しかし、時代は移った。
規範が多様化し、価値観が分散化し、その一方で、なんだか、独裁者を求める気分がじゅわっと漂う危ない現代世界において、またまた、この曲の在り方が見直されるかも?
まあ、冗談が全く通じない世界は、バランスの悪い、こまのようなもの。
でも、相手に『冗談』だと理解されなければ、それは凶器(狂気)かもしれませんし、自爆用の爆弾かも。
なお、相手の心を傷つけるような種類のものは、そもそも、『冗談』ではありません。
でも、モー先生は、そうしたこともやった可能性はありそうな気もします。
まあ、やはり、『冗談』は、秘かに楽しむのが、一番安全です。
やましんみたいに、なりますから注意が必要です。
いやあ、すいません、『冗談』でした・・・。
時に、どなたか、この曲を正しく直したバージョンを聞かせてくださいませんか?
面白くなくなるかな?
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