第68話 『交響曲第33番 K.319』 モーツアルト

 1779年7月9日に完成したと言う作品であります。


 名前は付けられていないけれど、ザルツブルグ時代最後の、傑作『うきうき』交響曲。


 全般的には、オケの編成も小さく、大人しくまとまった、良い作品と昔から見られてきております。


 しかし、やましんはこの曲が、かなり大好き。

 

 第1楽章は、『さあ、始まり始まり~!』という感じの、よい音楽。


 第2楽章は、穏やかですが、なかなかに奥の深い感じがする音楽です。


 中間どころを過ぎ、冒頭の主題に戻るあたりには、ハートにぐっとくるものがあります。


 第3楽章は、あとから追加されたものだと言われますが、ウイーン風味のする良いお味のスープという感じで、大変に美味しいです。


 最高の出来なのは、終楽章です。


 まず第3楽章から第4楽章に移るのを待ち構える雰囲気が、たまらなく、うきうきと、楽しいです。(これは、2度目以降に聞いたときからですけどね・・・)


 三連符が疾走する第1主題も素晴らしいけれど、第2主題部が大変に、すばらしいです。


 ちょっとセレナードの行進曲みたいな感じで締めくくります。


 簡潔な展開部は、きわめて効果的に働きます。


 これ以上追加も削除も出来ない完璧な世界です。


 そうして、再現部は、『うきうき』の極致です。


 まあ、楽しくて楽しくて仕方がない音楽なのです。


 べー先生の『第8交響曲』終楽章のモデルとも言われますし、なんだか、のちの、メンデ先生の『真夏の夜の夢』の『序曲』を予告するような響きも聞かせながら、目出度く集結します。


 1781年6月8日、ザルツブルグの大司教と喧嘩したあとのモー先生は、引き留め役の大司教の腹心、アルコ伯爵と話し合いをもちました。

 

 しかし、結局、とうとう仲立ち役の伯爵までも怒らせてしまい、蹴っ飛ばされて『解雇』となります。


 同じ結論でも、常識的には、もうすこし上手に、穏やかに解決するべきだったんではないか、と思うのは、まあ、凡人の浅知恵なんでしょう。





 

 


 

 




 


 


 



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