第28話 『 協奏交響曲(K.297b)』 モーツアルト?
『ユーフォー』とか、『ユーレイ』とか、『ユーマ』とか、『超能力』とか、世の中には怪しいお話も随分たくさんありますが、例えば、ケネディ大統領の暗殺事件とか、レベルは多少違いそうですが、最近の、どちらかの国の国会関連問題やら、などとも、並ぶかのような、謎の多い作品です。
もともと、モー先生の遺した、お父様当てのお手紙の中で(1778年5月1日)、言及されていたという『協奏曲』があり、その後、どうやら本人の推測では、カンビーニさん(『協奏交響曲』の分野では当時有名だったとか・・・でも、これは濡れ衣かもしれない・・)の画策によって初演が出来なくなったとされ、肝心の楽譜も消失してしまったという『謎の協奏交響曲』がありました。
ソロ楽器は、元々は、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルンの為の曲だったと。
ところが、没後70年かが経った頃に、突然これに当たりそうな『協奏交響曲』の楽譜が発見されたというのですが、なぜかソロの楽器が、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットに書き換わっていたと言うのです。
これは、改ざんなのか?
さらに、この曲、あまりに美しくて、すっごすぎるので、いったいモーツアルト先生以外の誰に、こんな傑作が書けるのか、とも思われ、実は本人が後から書き換えたんじゃないか、とか、いやいやあ、そりゃあ、別人の作品だってことだってあるだろう、とか、誰かが編曲したんだろうとか、どうやら議論はたくさんあったらしいのですが、やましんは、(不覚にも・・かも)、まだ、これが解決した様には聞いておりませんが・・・・
もうずいぶん前に、『コンピューター』で解析したところ、本人が書いたと判断できる部分と、他人が手を加えたと思われる部分が出て来たという結果に達し、それに基づいた録音が、フルートのニコレさまなど、いずれも当時の名人ばかりを集めて行われたことも、ありました。
しかし、この録音では、ぼくが大好きなフレーズが、ばっさりカットされてしまっていたことから、1~2回聞いただけで、結局このLPは、ほったらかしにしてしまいました。でも、おかげさまで、今は、めったに触らない『宝物』になっておりますが。
当時のコンピューターの解析が、正しいのかどうかは、わからないのですが、また名人ばかりの演奏なので、演奏自体は素晴らしくても、やはり、自分が気に入ってる部分がなくなると、ちょっとは、気に入らなかったりも、したのです。
それにしても、この『絶品』とも言うべき作品、モー先生としては、いくらかロマティック過ぎるかしら、と思わない事もないのですが、そこは時代なんか超越してしまうモー先生のことですからね。
要は、自筆の楽譜などが、出てくればよいのです。
まだ、やましんが生きてるうちに、なにか資料が出て、一発大逆転の可能性だってあるでしょう。
なお、モー先生の場合は、いわゆる『偽作』と言われたような曲の問題は、他にもいろいろあった(・・・ある)ようです。
むかしから有名なところでは、『新・旧ランバッハ交響曲』という例がありました。二つ出て来た『交響曲』の内、どっちが、お父さんが書いた曲なのか?
という、課題となり、そりゃあ、できの悪い方が、お父様の、レオポルトさんの曲で、良い方が超天才である息子の曲だろうというのが、どうやら通説だったのですが・・・
こいつは、実際に,本物の楽譜が出て来たことで、それまでの通説が見事、逆転負けして、解決済み。
さすがは、お父さんで、まだ幼い息子よりは、やはり、すごかった、ということですね。
ものごと、証拠が大切なのです。
ところが、どうも、やましんが感じる限り、お父様の曲は、その後ちょっと雲隠れしてしまったような気も・・・
また、かつて『レアオン』でご紹介した、イ短調の交響曲『オーデンセ』もそうした曲で、これはまだ、はっきりした作曲者は解明されていないんじゃないかと。
そうした中には、『大序曲 K.311a』なんていう、怪しい曲も、ありました。
この曲も、1901年に楽譜が発見された、と言われるものですが、オリジナルの曲と思しきものは、『協奏交響曲』と同じく、モー先生が、「ル・グロ」さんという方に、楽譜を売ったらしいのだけれども、こっちも同様に、消失しているとのこと。
もっとも、ご本人が手紙で書いた曲と、あとから出て来たこれらのものが、同じ曲であるという証拠も、どうやらないようなので、この『大序曲』と言われた曲なんかも、自筆楽譜とか、はっきりした証拠が出ない限りは、やはり闇の中のようです。
聞いた感じでは、こちらは、かなり怪しい感じですが。
でも、世界中の研究者の方々が、日々努力をなさっているので、きっとまた、新しいびっくりな発見が、あることでしょう。
やましんは、期待して待つ以外には、手がありません。
ほかにも、バイオリン協奏曲の『第6番』とか『第7番』とかと、かつて言われた曲あたりも、なかなかの、曲者だったようですが、これは、うまく書けそうにないので、もう割愛。
あ、・・それから、昔からやましんが、なぜか大好きだったのが、『深き淵より K.93』。
これは、どうやら、C.G.ロイターさまという方の作品を、モー先生が写したらしい、とのことだったような気がいたしますのですが、なのでこれは、モー先生の作品ではなさそう。
でも、とっても、落ち込んだ気持ちを、やんわりと、なぐさめていただけるような、実によい音楽です。それだけでも、やましんには貴重な音楽です。(ただし、録音は一種類しか見たことがありませんが。【ペーター・マークさま指揮の『フリーメーソンの為の音楽全集』】
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