第19話 『交響曲第5番』 シューベルト
ビゼーさんの『第1番』が出たら、自然に思い浮かべる楽しい『交響曲』がこの作品であります。
こちらは、1816年、シューベ先生、御年19歳の折りの作品です。
すでに『魔王』も書いた後でしょうし、シューベ先生の場合は、もう習作期ではありません。
最近のお若いミュージシャンの方々は、とっても早熟なような気もしますけれど、歴史上の『神童』というような方は、やはり、とんでもない早熟さだったのです。
第1楽章の冒頭から、楽しい事この上ないというような音楽が始まります。
でも、そこはシューベ先生のこと。
すでに、ふっと『深淵』を覗き込ませてくれるのです。
そこは、底が全く見えない、永遠の淵です。
訳もなく鳥肌が立ち、恐怖心が襲ってきます。
でも、すぐにまた、元の楽しい世界に戻ってしまうのです。
ビゼー先生の『第1番』では、まだ次元の穴が開きかけですが、シューベ先生のこの『交響曲』では、ちょっと年長の事もあってか、もうその永遠の穴が開いてしまっているのです。
そこは、おっこちたら、もう、けっして帰って来られないような、異世界への入口なのです。
31歳で生涯を終えたシューベ先生は、『二十歳(はたち)』になる前に、きっと、もうその宇宙の深淵を見つめていたのです。
そこはまた、宮沢賢治さまが『銀河鉄道の夜』でお書きになった『石炭袋』=『暗黒星雲』、の底でありましょう。
ときに、この曲の『第3楽章』は、女声コーラス用に編曲されて、楽しい合唱曲としても利用されていたように思います。むかしは、よく、『合唱祭』とかでホールで聞いたものですが、最近はほとんど演奏会も聞きに出ないので、ちょと、今の様子が分からないのですが。
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