第18話 『交響曲第1番』 ビゼー

 ビゼーさんがこの曲を書いたのは、1855年で、御年17歳の時。

 けれども、長く埋もれてしまったため、再発見されて演奏されたのは1935年のことだったとか。


 もちろん、習作と言われる頃の作品ですし、確かに「奥の深い名曲」、とか、「世紀の傑作」とか言うと、ビゼーさんご本人も、「それは違うからね。」と言いそうです。


 とはいえ、例えばある日、どこかのホールに一般の方を招いて、レコードコンサートを(最近は、あまり流行らないかな・・・)開きまして、フランス系の作曲家の方が書いた『交響曲』を集めて聴いたとしましょうか。


 で、最後に「人気投票」をしたとしたら、もしかしたら、この曲が上位に来る可能性は、結構高いのではないか? と思います。


 それは、まずメロディーのポピュラリティーの高さ。

 歌謡曲のような感じで気楽に聞いて、すぐ覚えてしまう性質があります。


 そうして、意外にも、奥の深さを感じさせる要素がある事です。

 それは、第2楽章がまずそうですし、ノリの良い第3楽章や終楽章にも、シューベルトさんの音楽のように、どこか異世界に、ふっと、かげるところが感じられるのです。それは、一般的には『天才』と呼ばれるものからくるのです。


 映画「エイリアン」の怪獣が出す唾液が、現実というこの世の次元に、穴を開けてしまい、知らない次元が見えそうになっている。そういう感じです。(まだ、良く見えないけれど・・)


 確かに、べー先生の『交響曲』と比べるような意味はないかもしれないですが、それにしては、理屈なしで「楽しい!」という意味合いにおいては、ビゼー先生のこの曲の方が上かもしれません。


 そこが、よいのです。


 「うきうき」、「わくわく」する音楽です。





 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る