第6話 『くるみわり人形』 チャイコフスキー
クリスマスバレエの定番です。ただ、普段は「組曲」の形で聞かれることが多いのではないかな、と思うこの作品ですが、「くるみ割り人形の魅力の大半は組曲の外にあり」だと思うのです。
確かに「組曲」の「葦笛の踊り」や、なんと言いましても「花のワルツ」は、間違いなく魅力いっぱいですが、実は「小序曲」のすぐ後に、もう、さらに魅力的な音楽が待っています。すぐに有名な「行進曲」があり、そうして、「ネズミさん群団」との戦いの後、王子様に変身したくるみ割り人形に、「お菓子の国」に連れていかれる途中で演奏される「雪片のワルツ」は、この作品中最高の白眉というべき部分です。
ここはもう、人類史上最高のファンタジーでしょう。(言い過ぎ? そうでもない気がいたしますが・・・)
追いすがるネズミさん群団をはねのけて、到着したお菓子の国の「情景」。
ここも素晴らしい部分で、一気に夢の国に連れていかれてしまいます。
そのあとの、パーティーのところの音楽が「組曲」の中心部分になっているわけですね。でも「組曲」には入っていない、「スペインの踊り」とか、「ジゴーニュおばさん・・」の部分とか、「花のワルツ」のあとに続く「金平糖の踊り」の前後の部分も、実に良い音楽です。
そうして、「終幕のワルツ」と終結部も、この夢の世界の締めくくりとして、とても感動的です。
本来は、バレエと共に観劇するべきものなのでしょうけれど、お外に出るのがなかなか苦手な僕などにとっては、DVDとかCDは、まことにありがたいものです。
「眠りの森の美女」と「白鳥の湖」は、内側になにか、とても、どろどろっぽい、謎めいた世界を包含していて、人間の心理になにやら怪しい、暗い影を侵入させようとするのですが(もっとも、それだけに、チャイコフスキーさんの音楽は、こちらの方が奥深い気がいたしますが)「くるみわり人形」さんは、その点、まず安心して鑑賞ができるという意味でも、これもまた、大変にありがたいものです。
時間とお金は少し多めにかかりますが、年に一度くらいは、この作品の「全曲」を聴くのも、「通常」とはかなり違う、異世界的な、楽しい時間になる事でしょう。
************うき 💂 💂 💂 うき************
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