ヴァイスをヤンデレにしてみた その2(自重しない)

 目が覚めたとき、俺の全身から力が抜けていた。

 ヴァイス……俺が気ぃ失ってから、散々絞りつくしてくれたみたいだな。


 まあ、強引だったのはさておき、意外と感触としては悪くないんだ。もうとっくに何度か致してるからな。


 けど……流石に、あいつの独壇場ってのは許せないな。何とかうまく言いくるめて、主導権だけ渡してもらおう。

 となると……説得の口上を考えなきゃあな。

 あいつは今の所、俺を殴るといった暴力は振るって来てない。


 なら、拘束状態でさえいれば……いけるか?


 まあ、うだうだ考えるより、やってみっか。ダメならダメで、別の手を考えなきゃな。

 俺は天井から伸びた鎖を手錠ごと下ろし、横向きになって眠ることに決めた。


     *


 ああ……まだ、さっきの感触が残ってる。

 私が一方的に動いたとはいえ、凄かったわ、龍野君の。


 私の愛しい龍野君……もっともっと、私を満足させて?


 さて、そろそろお風呂の時間ね。

 体を洗って、もう一度龍野君に会いに行くわ。


     *


 俺がまどろんでいると、カツンカツンという音が聞こえてきた。

 足音……これは、間違いなくヴァイスのものだな。

 ぎぃと音を立ててドアが開く。やれやれ……また絞りに来たのか?

 まぁ……別にいいさ。


 まだまだ余力はあるんだよな、困ったことに。


 ヴァイスが俺の表情を覗き込む。

「おはよう、龍野君」

 俺は怒りをにじませて返す。「おはよう」

「お怒りみたいね。どうしてか、教えてちょうだい?」

 思ってもみないチャンスだな、おい。

 だが、せっかくの機会だ。俺は思ったことをそのまま話すことに決めた。

「両手をがっちり拘束されてるからよ。せめて主導権だけは握りてえ、と思ったからさ」

「あらあら。そんなことをすれば、逃げちゃうでしょ?」

 まあ、当たり前の反応だ。俺がヴァイスの立場なら、警戒するのは当然。

 だから俺は、それを見越した提案を準備していた。

「足錠は無いのか?」

「あるわよ。けど、それがどうしたの?」


「手錠を外す代わりに、足錠をつければ逃げられないだろ? 先につけてくれていいからよ」


 それを聞いたヴァイスが一瞬、目を見開く。そして肩をすくめ、言葉を返した。

「念のため聞いておくけれど、殴らない、わよね?」

「暴力趣味はねえよ」

「よかった。いくら龍野君でも、私を殴ったら刺すわ」

 ぞっとした。今のヴァイスは、平然と過激な言動が出来る状態だ。

 ヴァレンティア国民皆が憧れる、美しく気高き姫の面影はどこにもねえ。

「それより、お前の目的は俺だろ?」

「そうよ。何を今更」

「それじゃあ、遠慮なくヤってくれや。お姫様」

「うふふふ……私を挑発するとは、中々肝の据わった騎士様ね? ではお望み通り……」

 ヴァイスが足錠を俺に掛け、更に手錠に括り付けていた鎖を外す。

 素早く足錠のチェーンに取り付けると、目を閉じた。

 直後、手錠が外される。

「さあ、後は邪魔なものを取り払えば、私は貴方になすすべなく蹂躙されるわ」

 この姫様、かなり口が達者だ。言葉だけで俺に刺激を与えてきやがる。

「もっとも、それはこの後のひとときだけ。終わったら、すぐにでも手錠を掛け直すんだからっ」

 この口調だけ聞くと、ただの可愛いお姫様なんだがな。実態は愛が重くて、し潰されちまう程だ。

 だが俺の内心には構わず、するりするりと脱ぐヴァイス。思わず感心するほど滑らかな動きだ。

「さあ……思う存分私を召し上がれ、騎士様」

 その一言で、俺の理性は完膚なきまでに消し飛んだ。

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龍野とヴァイスの性格をいじってみた 有原ハリアー @BlackKnight

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